アメリカ・オハイオ州クリーブランドに位置するクリーブランド州立大学法学部(Cleveland State University College of Law)は、長い歴史と社会正義への貢献で知られる公立の法科大学院です。19世紀末の創立以来、法曹界における多様性の推進に尽力し、多くの先駆的な法曹人や政治家を輩出してきました。
主要な事実(Key Facts)
- 設立: 1897年(129年の歴史を持つ)
- 所在地: アメリカ合衆国オハイオ州クリーブランド
- 学生数: 約440名
- 教員数: 75名
- 認定: アメリカ法曹協会(ABA)認定、アメリカ法科大学院協会(AALS)加盟
- 最新ランキング: US News & World Report 2025年版で121位(同率)
歴史的変遷と名称の変更
本学部のルーツは1897年に設立されたクリーブランド法科大学にあります。当時、オハイオ州で初めての夜間法科大学であり、女性の入学を認めた先駆的な教育機関でした。その後、1916年に設立されたジョン・マーシャル法科大学との合併を経て、1946年に「クリーブランド・マーシャル法科大学」となりました。
1969年にはクリーブランド州立大学に統合され、当時オハイオ州最大の法科大学へと成長しました。なお、2022年には、かつての名称に含まれていたジョン・マーシャルが奴隷を所有していたという歴史的背景を考慮し、現在の「クリーブランド州立大学法学部」へと名称が変更されました。
社会正義と多様性の推進
本学部は、女性やマイノリティが法曹界へ進出するための重要な拠点となってきました。アメリカの主要都市で初めてのアフリカ系アメリカ人市長となったカール・ストークスや、オハイオ州初の女性市裁判所判事であるメアリー・グロスマンなど、数多くの「州初」や「全米初」を成し遂げた卒業生を輩出しています。
特に注目すべきは、ルイ・ストークスによる歴史的な活動です。彼は連邦下院に選出されたオハイオ州初の黒人議員であるだけでなく、最高裁判所での重要な判例となる「テリー対オハイオ州事件」の弁論を行いました。この際、黒人の最高裁判事(サーグッド・マーシャル)が黒人の弁護士による口頭弁論を聴くという、アメリカ法制史上極めて稀な光景が実現しました。
提供される学位プログラム
学生のキャリアパスに合わせて、多様な学位コースが用意されています。標準的な法務博士(J.D.)に加え、法学修士(M.L.S.)や法学博士(L.L.M.)などの専門学位を提供しています。
また、法学と他分野を融合させたデュアルディグリー(二重学位)プログラムが充実しており、以下のような組み合わせが可能です。
- J.D. / M.B.A.: 経営学修士との併修
- J.D. / M.P.A.: 行政学修士との併修
- J.D. / M.U.P.D.D.: 都市計画・設計・開発修士との併修
- J.D. / M.A.E.S. または M.S.E.S.: 環境学(文学/理学)修士との併修
法学ライブラリーと特殊コレクション
学内の法学ライブラリーは、連邦寄託図書館プログラムの一環として運営されており、憲法、労働法、ユダヤ法、イスラム法、都市法など、幅広い専門資料を蔵書しています。
また、歴史的な資料アーカイブとしても重要であり、1954年のマリリン・シェパード殺害事件におけるサム・シェパードの起訴に関する資料(写真、録音、証拠品など60箱分以上)を保管しています。これらの資料はデジタル化され、オンラインで閲覧可能です。
著名な卒業生
政治、メディア、司法の各分野で影響力を持つ人物が多く在籍しています。元HUD(住宅都市開発省)長官のマーシア・ファッジは、学部卒業生として初めて大統領閣僚に就任しました。また、クリーブランド元市長のフランク・G・ジャクソンも卒業生の一人です。
メディア界では、NBCの「Meet the Press」で16年以上にわたり司会を務めたジャーナリスト兼弁護士のティム・ラッセルトが知られています。

大学概要まとめ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 教育形態 | 公立法科大学院 |
| 主要学位 | J.D., M.L.S., L.L.M. および複合学位 |
| 教職員比率 | 学生440名に対し教員75名 |
| 主な就職先 | オハイオ州内(2013年データで約87%) |
| 特筆すべき蔵書 | サム・シェパード事件資料、多言語・多文化法典 |
Frequently Asked Questions
この法学部はどのような歴史を持っていますか?
1897年に設立されたクリーブランド法科大学を起源とし、その後ジョン・マーシャル法科大学との合併を経て、1969年にクリーブランド州立大学に統合されました。オハイオ州初の夜間法科大学であり、女性への門戸を早くから開いた歴史があります。
どのような学位を取得できますか?
法務博士(J.D.)のほか、法学修士(M.L.S.)や法学博士(L.L.M.)が取得可能です。さらに、MBAや行政学、環境学などの修士号を同時に取得できるデュアルディグリープログラムも提供されています。
卒業後の就職状況はどうですか?
多くの卒業生が地元オハイオ州内で法曹としてのキャリアをスタートさせています。過去のデータでは、就業者の約87%が州内で活動しており、地域社会に密着した法曹養成を担っています。
ライブラリーにはどのような特徴がありますか?
連邦寄託図書館として、標準的な法典だけでなく、ユダヤ法やイスラム法、都市法などの専門的なコレクションを保有しています。また、有名なサム・シェパード事件の裁判資料をデジタルアーカイブとして公開している点も特徴です。
なぜ名称が変更されたのですか?
以前の名称に含まれていたジョン・マーシャルが、過去に奴隷を所有していたという歴史的事実に基づき、大学の価値観に合わせるため2022年に現在の名称に変更されました。
References
- "Cleveland State University—Marshall". U.S. News & World Report – Best Law Schools.
- Cleveland Memory Project (2007-11-19). "A Brief History of Cleveland State University". Cleveland State University. Retrieved 2009-03-19.
- Mearns, Geoffrey S. "It's All About Women...Bar None!", Cleveland Metropolitan Bar Journal. Vol. I No. 2, April, 2008.
- "CLEVELAND-MARSHALL LAW SCHOOL" at The Encyclopedia of Cleveland History Retrieved September 5, 2011
- "CSU TO REMOVE CLEVELAND-MARSHALL NAME FROM COLLEGE OF LAW".
- "The Black Past: Remembered and Reclaimed". BlackPast.org. 12 February 2007. Retrieved 2008-04-29.
- "Dual Degree Programs" Retrieved September 5, 2011
- "Best Law Schools: Ranked in 2016". U.S. News & World Report Best Grad Schools. U.S. News & World Report. Retrieved July 17, 2016.
- Cleveland State University (Cleveland-Marshall) | Best Law School | US News
- Rosin, Gary. "Full Rankings: Bar Admission Required, Full-Time, Long Term", The Faculty Lounge, March 30, 2013. Retrieved on February 24, 2014, http://www.thefacultylounge.org/2013/03/-full-rankings-bar-admission-required-full-time-long-term.html. -- For the latest Employment Summary Reports from the American Bar Association, Section of Legal Education, see http://employmentsummary.abaquestionnaire.org/