Kingo's hymnal, 1859 edition
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トーマス・キンゴデンマーク・バロック詩の頂点を極めた司教と賛美歌作家

17世紀のデンマークにおいて、宗教的な情熱と芸術的な技巧を融合させ、バロック文学の黄金時代を築いた人物がトーマス・キンゴ(Thomas Kingo)です。彼は単なる聖職者にとどまらず、後世にまで影響を与える賛美歌作家および詩人として、デンマーク文化史に深く刻まれています。

Key Facts

  • 正体: デンマークの司教であり、バロック時代の代表的な詩人・賛美歌作家。
  • 最高到達点: デンマーク・バロック詩の頂点と評される文学的功績。
  • 主要著作: 『キンゴ賛美歌集』(1699年)など、教会で長く愛用される作品を多数執筆。
  • 経歴: コペンハーゲン大学で神学を学び、最終的にフュン司教区の司教に就任。
  • 影響力: デンマーク国内のみならず、ノルウェーやフェロー諸島の宗教音楽にも大きな影響を与えた。

生涯とキャリアの歩み

1634年、コペンハーゲン近郊のスランゲルップで生まれたキンゴは、スコットランド出身の織物職人を父に持つ家庭に育ちました。「キンゴ」という姓は、スコットランドの「キングホーン(Kinghorn)」が短縮されたものです。控えめな家計ながらも教育への意欲は高く、16歳でフレデリクスボー・ラテン学校へ入学し、その後コペンハーゲン大学で神学を専攻して1658年に卒業しました。

卒業後はフレデリクスボー城での家庭教師を経て、ティッソーのヴェドビーゴー領地などで初期の詩作に励みました。その後、教会での奉仕活動に従事し、故郷のスランゲルップで牧師として活動する中で、彼の詩人としての才能が開花します。その能力と信仰心は高く評価され、1677年にはフュン司教区の司教という要職に任命されました。

文学的功績と賛美歌への情熱

キンゴの創作活動は、当初は愛国的な詩を中心としていましたが、次第に賛美歌の執筆へと傾倒していきました。1674年に発表された『霊的な歌の合唱(Aandelige Siunge-Koor)』の第一部、および1681年の第二部は、当時の宗教音楽に新たな風を吹き込みました。

特に政府からの委託を受けて編集した『キンゴ賛美歌集』(Kingos Psalmebog, 1699年)は、彼自身の作品85曲を含む記念碑的な著作となりました。この賛美歌集は、後の敬虔主義や合理主義の時代においても、地方の農村部などで根強く支持され、伝統として受け継がれました。また、フェロー諸島では20世紀を通じて、複雑な民俗旋律と共に彼の賛美歌が歌い継がれてきた歴史があります。

Kingo's hymnal, 1859 edition

表現の特徴とスタイル

彼の作品は、旧約聖書的な激しい怒りや世俗への拒絶と、キリスト教的な謙虚さと信頼という、対照的な感情が交互に現れるのが特徴です。これは彼自身の妥協を許さない性格と、内面的な信仰心の葛藤が反映されていると言われています。また、長編の詩では装飾的な傾向がありましたが、短編においては比類なき完成度を誇り、海軍の英雄ニールス・ユエルに捧げた頌歌などは、簡潔ながらも気品ある名作として知られています。

私生活と晩年

キンゴの人生は、三度の結婚という波乱もありました。最初の妻シレ・ブラッケンボーは結婚の翌年に早世し、二度目の妻ヨハンネ・ラウリッツダッター・ルンドは彼より13歳年上でした。そして1694年、60歳の時に30歳のビルギッテ・バルスレフと結婚しました。

社会的な地位も向上し、1679年には貴族階級に組み込まれ、1682年には神学博士号を取得。1690年には司法評議会員(justitsråd)に任命されるなど、教会と国家の両面で信頼を得ていました。晩年は皮膚疾患に悩まされましたが、1703年にオーデンセで68歳で没しました。

Thomas Quellinus' epitaph to Christoffer Balslev, Thomas Kingo and BIrgitte Balslev, 1702, as well as Thomas Kingo's and Birgitte Balslev's sarcophaguses.

トーマス・キンゴの概要まとめ

トーマス・キンゴのプロフィールと功績
項目 詳細
生没年 1634年12月15日 - 1703年10月14日
主な役職 フュン司教区司教(1677年-1703年)
教育機関 コペンハーゲン大学(神学)
代表作 『キンゴ賛美歌集』(1699年)
文学的様式 デンマーク・バロック様式
埋葬地 オーデンセ近郊、フラウグデ教会

Frequently Asked Questions

トーマス・キンゴはどのような人物でしたか?

17世紀デンマークの司教であり、バロック時代の最高峰とされる詩人・賛美歌作家です。宗教的な情熱を込めた作品を多く残し、デンマーク教会の音楽的伝統に多大な貢献をしました。

『キンゴ賛美歌集』は現在でも使われていますか?

はい。1699年に出版されたこの賛美歌集は、デンマークやノルウェーの一部地域で今なお使用されており、特にフェロー諸島では20世紀を通じて広く親しまれてきました。

彼の詩や賛美歌にはどのような特徴がありますか?

激しい感情の起伏が特徴です。世俗を否定する厳格な怒りと、神への絶対的な信頼という対照的な要素が共存しており、それがバロック文学特有のドラマチックな表現を生んでいます。

キンゴのルーツについて教えてください。

父親がスコットランドのクレイル出身で、幼少期にデンマークへ移住した織物職人でした。「キンゴ」という名前は、スコットランドの姓「キングホーン」を短縮したものです。

彼を記念するものは現代のデンマークにありますか?

オーデンセには「トーマス・キンゴ教会」があり、コペンハーゲンには「キンゴ通り(Kingosgade)」という通りが存在します。また、オーデンセの聖クヌート大聖堂やコペンハーゲンのフレデリクス教会には彼の像が建てられています。

References

  1. Aaberg, Jens Christian (1945). "Kingo's Childhood and Youth". Hymns and Hymnwriters of Denmark. Des Moines: . Thomas Kingo, the grandfather of the poet, immigrated from Crail, Scotland, to Denmark about 1590, and settled at Helsingør, Sjælland, where he worked as a tapestry weaver.
  2. Thomas Kingo (1699): Gradual, Odense. Facsimile edition by Erik Norman Svendsen and Henrik Glahn, with afterword by Henrik Glahn: “Om melodiforholdene i Kingos Graduale”, Copenhagen 1967
  3. Holter, Stig Wernø; Eiriksson, Thröstur (2022-12-21), "Thomas Kingo", (in Norwegian), archived from the original on 2022-12-25, retrieved 2023-05-10
  4. "Gravgitter udført 1709 til Thomas Kingos gravkapel. Fraugde Kirke" (in Danish). Nationalmuseet. Archived from the original on 18 May 2021. Retrieved 16 June 2022.
  5. "Kingosgade" (in Danish). hovedstadshistorie.dk. Archived from the original on 30 December 2019. Retrieved 30 December 2019.
  6. "Thomas Kingo". salmer.dk (in Danish). Retrieved 10 May 2023.
  7. "Chrysillis". Det Kgl. Bibliotek.dk (in Danish). Archived from the original on 13 March 2022. Retrieved 10 May 2023.

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Kingo's hymnal, 1859 edition
Thomas Quellinus' epitaph to Christoffer Balslev, Thomas Kingo and BIrgitte Balslev, 1702, as well as Thomas Kingo's and Birgitte Balslev's sarcophaguses.