1951年、黄金時代の映画界で輝きを放っていたドリス・デイは、同年に3本もの音楽映画に出演しました。その一つである『I'll See You in My Dreams』に関連して制作されたアルバムは、当時の業界構造が生んだユニークな経緯と、彼女の卓越した歌唱力が融合した作品として知られています。
制作の背景と当時の業界事情
当時、ドリス・デイは映画制作のワーナー・ブラザースと契約していましたが、同社はまだ自前のレコード会社を所有していませんでした。そのため、映画の公式サウンドトラック盤をリリースする体制が整っていなかったのです。この空白を埋めたのが、彼女が同時に契約していたコロンビア・レコードでした。
コロンビア・レコードは、映画で使用された楽曲をスタジオで録音し直すという手法をとり、実質的なサウンドトラックとしての役割を担いました。このアルバムは基本的にドリス・デイのソロ作品としての色彩が強いものの、一部の楽曲では映画の共演者であるダニー・トーマスがゲスト参加しており、「Ain't We Got Fun」や「Makin' Whoopee!」などのデュエット曲を披露しています。
音楽的構成とアーティスト陣
収録された楽曲の多くは、ニューヨークの音楽出版街として栄えたティン・パン・アレイ(当時のポピュラー音楽の中心地)の楽曲や、ショーチューン(舞台音楽)で構成されています。特に作詞家ガス・カーンの作品が重要な役割を果たしています。
演奏面では、ポール・ウェストン率いるオーケストラがバックを務め、さらにノーマン・ルボフやリー・ブラザーズによるボーカルコーラスが加わりました。ドリス・デイは、これまでの映画タイアップ作品と同様に、洗練されたアレンジの中でその類まれなる歌唱力を遺憾なく発揮しています。
Key Facts
- リリース背景:ワーナー・ブラザースにレコード会社がなかったため、コロンビア・レコードがスタジオ録音版を制作した。
- 参加アーティスト:ポール・ウェストン(指揮)、ノーマン・ルボフ、リー・ブラザーズ、およびゲストのダニー・トーマス。
- 楽曲ジャンル:ガス・カーンらが手掛けたティン・パン・アレイの楽曲やショーチューンが中心。
- 評価:批評家から高い評価を得ており、音楽的な完成度が認められている。
作品の評価まとめ
本作は、音楽評論家や著者からも高く評価されています。アメリカの作家トム・サントピエトロは「偉大な歌手による素晴らしい楽曲集」として最高評価の「A」を付けました。また、イギリスの音楽ライターであるコリン・ラーキンも、その著書『Encyclopedia of Popular Music』の中で「Good(良好)」という評価を与えています。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 主演・メインボーカル | ドリス・デイ |
| ゲスト出演 | ダニー・トーマス |
| 伴奏 | ポール・ウェストン・オーケストラ |
| コーラス | ノーマン・ルボフ、リー・ブラザーズ |
| 主な作詞家 | ガス・カーン |
Frequently Asked Questions
なぜ公式の映画サウンドトラック盤が存在しないのですか?
映画制作会社のワーナー・ブラザースが当時レコード会社を運営していなかったため、映画そのままの音源をアルバム化する体制がなかったからです。
このアルバムは映画の音源をそのまま使ったものですか?
いいえ。コロンビア・レコードのスタジオで改めて録音されたものです。そのため、映画のサウンドトラック的な役割を果たしつつも、スタジオ録音としての高いクオリティを備えています。
ダニー・トーマスはどのような形で参加していますか?
ゲストとして参加しており、「Ain't We Got Fun」と「Makin' Whoopee!」の2曲でドリス・デイとのデュエットを披露しています。
どのようなジャンルの曲が収録されていますか?
主にティン・パン・アレイのポピュラーソングや、ミュージカルなどのショーチューンが収録されており、ガス・カーンが作詞した楽曲が含まれています。
専門家による評価はどうでしたか?
非常に高く評価されており、トム・サントピエトロは「A」グレードを、コリン・ラーキンは「Good」という評価をそれぞれ下しています。