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ニュースクール社会研究大学院(NSSR)自由な学問と亡命者の知性を継承する学び舎

アメリカ合衆国ニューヨーク市に位置するニュースクール社会研究大学院(The New School for Social Research: NSSRは、既存の教育体制に縛られない自由な探究心と、歴史的な使命感を併せ持つ大学院レベルの教育機関です。ザ・ニュースクール(The New School)の一部門として、世界中から集まる学生に高度な社会科学教育を提供しています。

主要な事実(Key Facts)

  • 設立年: 1919年(創立100年以上の歴史を持つ)
  • 所在地: アメリカ合衆国 ニューヨーク市
  • 教育レベル: 大学院レベルの専門教育
  • 認定機関: NYSEDおよびMSCHEによる認定
  • 特徴: ナチス政権から逃れた学者らによる「亡命大学(University in Exile)」としての歴史を持つ
  • マスコット: Gnarls the Narwhal(イッカクのナーレス)

知の解放から始まった創設期(1919年〜1933年)

NSSRの起源は、20世紀初頭の米国の高等教育における官僚化や学問の断片化に対する強い危機感にありました。1919年、ジョン・デューイやチャールズ・ビアード、ソースタイン・ヴェブレンといった進歩的な知識人たちが、より自由な学びの場を求めてこの学校を設立しました。

当初は学位を授与しない成人教育機関としてスタートし、夜間に有料の講義を提供していました。経済学の権威であるジョン・メイナード・ケインズやベンジャミン・グレアムがゲスト講師として登壇するなど、設立当初から知的刺激に満ちた環境が整えられていました。

「亡命大学」としての使命と発展(1933年〜1960年)

1933年、ナチス・ドイツによる「公務員再任法」によって多くのユダヤ系や急進的な学者たちが職を追われました。これを受け、初代学長のアルビン・ジョンソンは、彼らの受け入れ先として「亡命大学(University in Exile)」を創設しました。ロックフェラー財団などの支援により、欧州から避難してきた優れた知性がニューヨークに集結したのです。

この時期、ハンナ・アーレントやエリック・フロム、レオ・シュトラウスといった、後の社会科学や哲学に多大な影響を与える巨星たちが教鞭を執りました。1934年にはニューヨーク州から大学院学位の授与権を得て、「政治社会科学大学院(Graduate Faculty of Political and Social Science)」へと名称を変更しました。当時の教育は学際的なアプローチが主流であり、学生は特定の専門分野ではなく「社会科学」という包括的な学位を取得していました。

経済学部の確立と多様な理論の追求

1960年代に入ると、財政危機を乗り越えるための組織再編が行われ、従来の包括的な学部構成から、経済学、心理学、社会学、哲学、政治学の5つの専門学科へと分かれました。これにより、現代的な大学組織としての基盤が固まりました。

特に経済学部は、主流派の経済学にとどまらず、ポスト・ケインズ主義、マルクス主義、制度派、構造主義、政治経済学など、多様な理論的アプローチを許容する学風を築きました。ロバート・ハイルブローナーなどの著名な教授陣が、経済思想史への深い洞察を学生に伝え、批判的な思考力を養う教育を実践しました。

1971年には政治経済学の大学院プログラムが開始され、ジェンダー経済学や労働研究など、社会の課題に直結した研究が推進されました。1995年には、経済政策分析センター(CEPA)が設立され、理論と実践を融合させた研究体制が強化されました。

現代の組織体制とアイデンティティ

20世紀末から21世紀にかけて、組織名は「ニュースクール大学」から現在の「ニュースクール社会研究大学院」へと戻り、ザ・ニュースクールの傘下でパーソンズ・スクール・オブ・デザインやユージン・ラング・カレッジなどと共に、芸術、リベラルアーツ、社会科学を統合したユニークな教育エコシステムを形成しています。

学生による査読付きジャーナル『The New School Economic Review』の創刊(2004年)など、学生主導の知的活動も盛んであり、創設以来の「権威に縛られない精神」は今も受け継がれています。

ニュースクール社会研究大学院(NSSR)の概要
項目 詳細
設立年 1919年
運営形態 私立(非営利)
主な教育分野 社会科学(経済学、社会学、哲学、政治学、心理学)
キャンパス形態 都市型キャンパス(ニューヨーク市)
象徴的な色 ホワイト、ブラック、パーソンズ・レッド

よくある質問(FAQ)

NSSRはどのような目的で設立されましたか?

米国の高等教育における官僚化や学問の断片化に不満を持った進歩的な知識人たちが、より自由で開かれた学びの場を提供するために1919年に設立しました。

「亡命大学(University in Exile)」とは何ですか?

1933年以降、ナチス・ドイツによって職を追われた欧州のユダヤ系や急進的な学者たちを保護し、彼らが研究と教育を継続できるように設立された組織のことです。

経済学部の特徴は何ですか?

主流派の経済学だけでなく、マルクス主義やポスト・ケインズ主義など、多様な非主流派(ヘテロドックス)の経済理論を幅広く研究・教授している点が大きな特徴です。

現在はどのような組織構造になっていますか?

ザ・ニュースクール(The New School)という大きな組織の下で、社会研究大学院(NSSR)として独立した教育部門を維持しつつ、デザインやリベラルアーツの学部と連携しています。

どのような著名な学者が関わっていましたか?

ジョン・デューイハンナ・アーレント、エリック・フロム、ロバート・ハイルブローナーなど、哲学、政治学、心理学、経済学の各分野で世界的な影響力を持つ学者が多く在籍していました。

References

  1. "Message From the Dean". www.newschool.edu.
  2. "NSSR Faculty". www.newschool.edu.
  3. "Enrollment Data". The New School. September 19, 2022.
  4. The New School Brand Guidelines
  5. "Where is Gnarls the Narwhal | Student Leadership". www.newschool.edu. Archived from the original on August 2, 2021. Retrieved September 27, 2022.
  6. Friedlander, Judith (2019-02-05). A Light in Dark Times: The New School for Social Research and Its University in Exile. Columbia University Press. p. 26.  .
  7. "History". The New School. Retrieved November 15, 2020.
  8. Rutkoff, Peter M.; Scott, William B. (1986). New School. Simon and Schuster. p. 21.  .
  9. "The New School Archives : Collection : New School Course Catalog Collection [NS050101]". digital.archives.newschool.edu. Retrieved November 18, 2023.
  10. Friedlander, Judith (2019-02-05). A Light in Dark Times: The New School for Social Research and Its University in Exile. Columbia University Press. p. 64.  .