Fires Center of Excellence
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フォート・シル米国陸軍砲兵の聖地とその歴史的遺産

オクラホマ州ロートン近郊に位置するフォート・シル(Fort Sill)は、単なる軍事基地ではありません。1869年の設立以来、アメリカの歴史における重要な転換点を見守ってきたこの地は、現在では米国陸軍の「Fires Center of Excellence(火力センター・オブ・エクセレンス)」の本拠地として、世界最高峰の砲兵訓練を担っています。

約94,000エーカーという広大な敷地を持つこの施設では、野戦砲兵、対空砲兵、そして現代戦に不可欠な電子戦の専門家を育成しており、毎年2万人以上の兵士が基礎戦闘訓練を受けています。

US Army Fires Center of Excellence Flag

Key Facts

  • 設立年: 1869年(インディアン戦争時代)
  • 主要機能: 米国陸軍火力センター・オブ・エクセレンス本部、基礎戦闘訓練施設
  • 歴史的価値: 米国国家歴史登録財および国家歴史ランドマークに指定
  • 訓練分野: 野戦砲兵、対空砲兵、電子戦
  • 所在地: オクラホマ州ロートン(オクラホマシティから南西に約137km)

激動の歴史:フロンティアから近代軍事拠点へ

先住民との関わりとジェロニモの記憶

フォート・シルの初期の歴史は、アメリカ西部の先住民との衝突と和解の歴史と深く結びついています。特に有名なのが、チリカワ・アパッチ族の指導者ジェロニモの存在です。1894年、ジェロニモを含む342人の捕虜がこの地に送られ、基地周辺の村で生活しました。

ジェロニモは時に「ワイルドウェスト・ショー」への参加を許され、セオドア・ルーズベルト大統領に謁見するなど、複雑な立場にありました。彼は一度脱走を試みたものの、翌日には捕らえられています。1909年に肺炎で没した彼は、現在もフォート・シルに埋葬されており、その墓所は歴史的な場所となっています。

Geronimo's grave at Fort Sill with Apache prayer clothes in trees.

砲兵の拠点への転換

1901年の土地割当制度により、周辺地域に多くの入植者が流入し、隣接するロートン市が急速に発展しました。これに伴い、先住民の抵抗が弱まったことで、基地の役割は騎兵隊から野戦砲兵へとシフトします。

1911年には「野戦砲兵射撃学校(School of Fire for the Field Artillery)」が設立され、これが現在の世界的に有名な米国陸軍野戦砲兵学校の礎となりました。当時の陸軍長官ウィリアム・H・タフトの介入により、古い建物が取り壊されずに保存されたため、現在でも当時の面影を残す貴重な建築群が維持されています。

Fort Sill

航空戦術の先駆けと技術的進化

初期の航空実験とヘンリー・ポスト飛行場

フォート・シルは、陸軍における航空利用の先駆的な役割も果たしました。1915年には、カティスJN-3複葉機を用いた米国陸軍初の部隊横断飛行(テキサス州フォート・サム・ヒューストンまで約706km)を敢行しています。

1st Aero Squadron Curtiss JN-3 with red star "fin flash" national insignia

1917年に建設されたヘンリー・ポスト陸軍飛行場では、砲兵の観測やスポット(目標指示)のための航空訓練が行われました。第一次世界大戦中には気球部隊も配備され、多くの航空観測士を育成してヨーロッパ戦線へ送り出しました。

第二次世界大戦から現代まで

第二次世界大戦期、フォート・シルは軍事訓練だけでなく、司法省による日系アメリカ人の拘留施設としても利用されたという暗い歴史を持っています。証拠不十分ながらスパイ容疑などで逮捕された約700人の日系人がここに収容されていました。

戦後は、ヘリコプター訓練の導入や、ベトナム戦争へ派遣された航空部隊の母体となるユニットの編成など、航空戦術の近代化が進みました。また、1961年には後にアニメ『スポンジ・ボブ』を創造するスティーヴン・ヒレンバーグがこの地で誕生しています。

文化遺産と観光:歴史を体感する博物館

現在、フォート・シルは軍事拠点であると同時に、重要な歴史博物館としても一般に開放されています。特に以下の3つの施設は、軍事史を学ぶ上で欠かせません。

  • フォート・シル国家歴史ランドマーク博物館: インディアン戦争時代の最古の砦の姿を今に伝えています。
  • 米国陸軍野戦砲兵博物館: 世界中の多様な砲兵兵器を展示しています。
  • 米国陸軍対空砲兵博物館: 対空兵器の進化と歴史を網羅しています。
Fires Center of Excellence

また、博物館の隣には世界各国の砲兵兵器が展示された新しい「砲兵公園(Artillery Park)」が整備されており、訪れる人々を圧倒するスケールで展開されています。

Next door to the Artillery Museum is a new Artillery Park with artillery pieces from throughout the world.

施設概要まとめ

フォート・シルの基本情報
項目 詳細内容
管理組織 米国陸軍(United States Army)
主要任務 火力センター・オブ・エクセレンス、基礎戦闘訓練
敷地面積 約94,000エーカー(約38,000ヘクタール)
歴史的指定 国家歴史ランドマーク(1960年指定)
主要施設 野戦砲兵学校、対空砲兵学校、ヘンリー・ポスト飛行場

Frequently Asked Questions

フォート・シルではどのような訓練が行われていますか?

主に野戦砲兵、対空砲兵、および電子戦の専門訓練が行われています。また、毎年2万人以上の新兵が基礎戦闘訓練(BCT)を受ける重要な教育拠点となっています。

一般の人でも見学することはできますか?

はい、可能です。敷地内にある3つの博物館(国家歴史ランドマーク博物館、野戦砲兵博物館、対空砲兵博物館)は無料で一般公開されており、火曜日から土曜日の午前9時から午後5時まで入場できます。

ジェロニモとフォート・シルの関係は何ですか?

アパッチ族の指導者ジェロニモは、1894年からこの地に送られ、捕虜として生活していました。彼は基地のネイティブ・スカウト(先住民偵察兵)としても活動し、最終的に1909年に没してここに埋葬されました。

この基地が「歴史的ランドマーク」とされている理由は何ですか?

インディアン戦争時代のフロンティア砦としての構造が、全米で最も完全な形で保存されているためです。多くの歴史的建造物が残っており、アメリカ西部の開拓史を物語る重要な資料となっています。

航空分野でどのような役割を果たしてきましたか?

初期の陸軍航空隊の実験場となり、初の部隊横断飛行を実施したほか、砲兵のための航空観測訓練や、後のヘリコプター運用へとつながる航空教育の先駆けとなりました。

References

  1. "National Register Information System". . . 23 January 2007.
  2. "Lawton FT Sill Economic Development".
  3. Megehee, Mark K.; Dastrup, Boyd L. (2018). Fort Sill. Arcadia Publishing. pp. 7–8.  .
  4. "Frontier Army Days recreates 1869 Fort Sill". www.army.mil. 29 October 2020. Retrieved 13 December 2022.
  5. Wilbur Nye, Carbine, and Lance; The Story of Old Fort Sill, 1969, Norman, OK: University of OK Press, p. 85
  6. U.S. Department of the Interior (28 September 1993). National Places of Historic Places Inventory - Nomination Page. USPO. p. 3.
  7. Johze, Benedict (1961). A BRIEF HISTORY OF THE FORT SILL APACHE TRIBE. p. 1.
  8. Carter, R.G., On the Border with Mackenzie, 1935, Washington, D.C.: Enyon Printing Co., p. 48
  9. Carter, R.G., On the Border with Mackenzie, 1935, Washington, D.C.: Enyon Printing Co., p. 49
  10. "Carbine and Lance", Nye

📸 フォトギャラリー

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Geronimo's grave at Fort Sill with Apache prayer clothes in trees.
Next door to the Artillery Museum is a new Artillery Park with artillery pieces from throughout the world.
1st Aero Squadron Curtiss JN-3 with red star "fin flash" national insignia
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