Distribution of peace levels according to the 2026 Global Peace Index. Dark green indicates the most peaceful countries, while red indicates the least peaceful ones.[1]
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世界平和指数(GPI)が示す現代社会の平和と暴力の現状

世界における「平和」という抽象的な概念を数値化し、客観的に評価しようとする試みがあります。それが、オーストラリアのNGOである経済平和研究所(IEP)が発表している世界平和指数(Global Peace Index: GPIです。この指標は、世界163の国と地域を対象に、その平和レベルを相対的に順位付けしたもので、世界人口の99.7%をカバーする包括的なレポートとなっています。

2007年に技術起業家のスティーブ・キレリア氏によって構想されたこの指数は、元国連事務総長コフィ・アナン氏やダライ・ラマ14世など、世界的な指導者たちの支持を得て運用されています。毎年、ロンドンやニューヨークの国連事務局などで最新データが公開され、国際社会に警鐘を鳴らし続けています。

Distribution of peace levels according to the 2026 Global Peace Index. Dark green indicates the most peaceful countries, while red indicates the least peaceful ones.[1]

Key Facts

  • 測定対象:世界163の独立国および地域を毎年ランキング化。
  • 最新傾向:過去18年間のうち15回、世界の平和レベルが低下しており、直近1年でも平均0.7%悪化。
  • 平和な国:アイスランド、ニュージーランド、スイスなどが上位に位置。
  • 不安定な国:ロシア、スーダン、コンゴ民主共和国などが下位に位置。
  • 評価基準:「暴力やその恐怖がない状態」を指すネガティブピースを定義として採用。

平和をどう数値化するのか:GPIの算出メカニズム

GPIは単一のデータではなく、23の多角的な指標を組み合わせて算出されています。これらの指標は、専門家パネルによる年次レビューを経て最適化されており、大きく分けて「国内の平和(重み付け60%)」と「国外の平和(重み付け40%)」の2つのサブインデックスで構成されています。

評価に用いられる主な指標

データ収集にはエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)などの信頼性の高い機関が協力しており、以下のような項目がスコア化されます。

  • 治安と安全:殺人率、暴力犯罪のレベル、テロの影響、政治的テロの有無。
  • 紛争状況:国内・国外での組織的紛争の数と期間、死者数、難民や国内避難民の割合。
  • 軍事化:GDPに対する軍事費の割合、人口あたりの軍人数、主要兵器の輸出入量、核兵器などの重兵器保有能力。

これらのデータは1から5のスケールに正規化され、最終的なスコアが決定されます。また、GPIは単なるランキングにとどまらず、民主主義や教育、経済的豊かさと平和の相関関係を分析し、社会を平和に導く要因(ドライバー)を解明することも目的としています。

The Global Peace Index (GPI)[27] is shown compared to gross domestic product (GDP).

2026年版ランキングに見る世界の格差

最新の2026年版レポートでは、北欧やオセアニアの国々が高い平和レベルを維持している一方で、紛争地や政治的不安定な地域との格差が鮮明になっています。特に、世界人口の半分以上を占める人口大国の順位は、その国の社会的課題を反映しています。

主要国の平和レベル比較(2026年GPI)
国名 世界順位 平和の状態
アイスランド 1位 極めて高い
日本 10位 極めて高い
インドネシア 69位 中程度
中国 118位 低い
アメリカ合衆国 134位 低い
ロシア 163位 極めて低い

指標に対する批判と議論

GPIはその影響力の大きさゆえに、学術的な視点からいくつかの批判も受けています。主な論点は「平和の定義」と「データの透明性」です。

概念的な批判:ネガティブピースの限界

平和研究者のヨハン・ガルトゥング氏は、GPIが「暴力がない状態(ネガティブピース)」のみを測定し、構造的な暴力(経済封鎖や抑圧的な体制など)を無視していると指摘しました。また、持続可能な平和には、単なる暴力の不在ではなく、協力や正義といった「ポジティブな条件」の存在が不可欠であるという主張もあります。

手法への疑問

一部の研究者は、23の指標のうち多くが定性的な評価(分析者の主観的な判断)に基づいている点や、欠損データを補完する計算プロセスが完全に公開されていないため、第三者が結果を再現できないことを問題視しています。また、NATO加盟国などの西側諸国が上位に偏る傾向がある点も指摘されています。

これに対しIEP側は、利用可能な国際データで客観的に測定するためには、定義を限定した「ネガティブピース」の測定が現実的であり、多角的な指標を用いることで特定の領域によるスコアの偏りを防いでいると反論しています。

Frequently Asked Questions

世界平和指数(GPI)とは具体的に何を測っているのですか?

主に「暴力の不在」や「暴力への恐怖がない状態」を測定しています。具体的には、国内の治安、進行中の紛争状況、および軍事化のレベルという3つの領域からなる23の指標を用いて、国の平和度を数値化しています。

なぜ一部の国は順位が低いのでしょうか?

内戦や組織的な紛争による死者数が多いこと、テロの影響が深刻であること、あるいはGDPに占める軍事費の割合が極めて高いことなどが要因となります。また、政治的不安定さや高い殺人率もスコアを悪化させます。

「ネガティブピース」と「ポジティブピース」の違いは何ですか?

ネガティブピースは、戦争や暴力といった「負の状態」がないことを指します。対してポジティブピースは、社会的な正義、平等、調和など、平和を維持するための「正の状態(構造)」があることを指します。GPIは主に前者を測定しています。

最新のレポートで世界全体の傾向はどうなっていますか?

残念ながら、世界はより不穏な方向に向かっています。過去18年間のうち15回、平和レベルが低下しており、2026年のデータでも前年比で平均0.7%の悪化が記録されています。

データの信頼性はどのように確保されていますか?

エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)や国連(UN)、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)など、世界的に信頼されている機関の統計データを使用し、専門家パネルによるレビューを行うことで客観性を高めています。

References

  1. In this case, a conflict is defined as, "a contested incompatibility that concerns government and/or territory where the use of armed force between two parties, of which at least one is the government of a state, results in at least 25 battle-related deaths in a year."
  2. Excludes militia and national guard forces.
  3. This includes, "cash outlays of central or federal government to meet the costs of national armed forces—including strategic, land, naval, air, command, administration and support forces as well as paramilitary forces, customs forces and border guards if these are trained and equipped as a military force."
  4. This includes transfers, purchases, or gifts of aircraft, armoured vehicles, artillery, radar systems, missiles, ships, engines
  5. Rates the destructive capability of a country's stock of heavy weapons via a categorized system. As of 2013, countries with nuclear capabilities receive a score of five, the highest possible score.

📸 フォトギャラリー

Distribution of peace levels according to the 2026 Global Peace Index. Dark green indicates the most peaceful countries, while red indicates the least peaceful ones.[1]
The Global Peace Index (GPI)[27] is shown compared to gross domestic product (GDP).