This fused quartz sphere was manufactured for use in a gyroscope in the Gravity Probe B experiment. It is one of the most accurate spheres ever manufactured, deviating from a perfect sphere by no more than 40 atoms of thickness.[1]
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合成石英ガラス(Fused Quartz)の特性と産業応用究極の純度と耐熱性を実現する素材

現代の精密工業や科学研究において、極めて高い純度と過酷な環境への耐性が求められる場面があります。そこで不可欠な素材となるのが合成石英ガラスFused Quartz / Fused Silica)です。これは、ほぼ純粋な二酸化ケイ素(SiO₂)を非晶質(アモルファス)状態で固めたガラスであり、一般的なソーダ石灰ガラスやホウケイ酸ガラスとは根本的に異なる物理的・化学的特性を持っています。

通常のガラスは融点を下げたり強度を調整したりするために様々な添加物を混ぜますが、石英ガラスは純粋なシリカのみで構成されるため、融点が非常に高く加工は困難です。しかし、その代償として得られる圧倒的な耐熱衝撃性、化学的安定性、そして広範な波長領域における高い透過性は、最先端テクノロジーを支える基盤となっています。

Key Facts

  • 極めて高い純度:ほぼ純粋な二酸化ケイ素で構成され、不純物が極めて少ない。
  • 優れた耐熱性:融点が約2200°Cと非常に高く、急激な温度変化でも割れにくい(低熱膨張係数)。
  • 広範な光学透過性:紫外線(UV)から近・中赤外線まで広い範囲の光を透過させる。
  • 高い化学的耐性:フッ化水素酸を除くほぼすべての酸に対して不活性である。
  • 精密加工への適性:表面を極めて滑らかに研磨でき、予測可能な挙動を示すため精密ミラーに最適。

石英ガラスの製造プロセスと種類

石英ガラスは、高純度の石英砂(水晶)を融解させることで製造されます。製造手法によって不純物の含有量が異なり、用途に応じた4つの主要なタイプに分類されます。

  • タイプI:真空または不活性ガス雰囲気下で、天然石英を電気的に融解。
  • タイプII:高温の炎を用いて石英結晶粉末を融解。
  • タイプIII:水素・酸素炎の中で四塩化ケイ素(SiCl₄)を燃焼させて生成。
  • タイプIV:水蒸気を含まないプラズマ炎の中で四塩化ケイ素を燃焼させて生成。

特に「合成石英(Fused Silica)」と呼ばれるものは完全に合成的に製造され、超高純度であるため、深紫外線領域での透過性が極めて高く、半導体製造などの精密分野で重宝されます。

製造過程で水が含まれると、材料内部に水酸基(OH基)が形成されます。これにより赤外線領域の透過率が低下するため、赤外線用グレード(IRグレード)ではOH基の含有量を10ppm以下に抑えるなどの制御が行われます。

Fused quartz laboratory glassware

物理的・光学的な特異性

石英ガラスの最大の特徴の一つは、その極めて低い熱膨張係数(20~320°Cで約5.5 × 10⁻⁶/K)です。これにより、急激な加熱や冷却が行われても内部応力が発生しにくく、熱衝撃による破損を回避できます。

光学的には、可視光だけでなく紫外線から赤外線まで透過させる能力に長けています。ただし、不純物(アルミニウムやチタンなど)が混入すると紫外線透過率が低下し、前述の水酸基は赤外線透過を妨げます。そのため、用途に応じて「UVグレード」や「IRグレード」が使い分けられています。

また、屈折率が低く(nd = 1.4585)、アッベ数が高い(67.8)ため、可視光領域での分散が非常に小さいという特性を持っています。これは結晶質の石英(水晶)とは構造が異なるためであり、物理的・光学的な性質も大きく異なります。

Phosphorescence in fused quartz from an extremely intense pulse of UV light in a flashtube, centered at 170 nm

多岐にわたる産業応用

精密光学と宇宙開発

その安定した物性と研磨性の高さから、天体望遠鏡の主鏡や光学フラットなどの精密ミラー基板に最適です。また、極限環境に耐えうる強度を持つため、深海潜水艇の窓や、スペースシャトル、国際宇宙ステーション(ISS)の乗組員用ウィンドウにも採用されています。

60 inches (150 cm) fused quartz mirror blank for the McMath–Pierce solar telescope in 1962
2.4 meter fused quartz mirror of the Hubble Space Telescope

さらに、究極の球形精度が求められる実験装置(Gravity Probe Bなど)においても、原子レベルの精度で加工された石英球が使用されています。

This fused quartz sphere was manufactured for use in a gyroscope in the Gravity Probe B experiment. It is one of the most accurate spheres ever manufactured, deviating from a perfect sphere by no more than 40 atoms of thickness.[1]

半導体・電子デバイス

半導体リソグラフィにおける投影マスクの基板として、その熱安定性とUV透過性が活用されています。また、紫外線照射によってデータを消去するEPROM(消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ)の透明な窓部分にも、UV透過性の高い石英ガラスが用いられています。

An EPROM with fused quartz window in the top of the package

高出力照明とレーザー

ハロゲンランプや高輝度放電ランプのエンベロープ(外殻)には、高温度での動作に耐えうる石英ガラスが必須です。また、周波数コム生成のためのレーザー共振器など、高度な光学制御が必要な分野でも利用されています。

Fused quartz laser cavities for comb frequency generation

耐火材料および実験器具

化学的に不活性で耐熱性が高いため、製鋼や鋳造などの高温プロセスで使用されるるつぼ、トレイ、ローラーなどの耐火形状材として利用されます。化学実験室では、ホウケイ酸ガラスでは耐えられない超高温環境や、UV透過が必要な特殊な反応容器として使用されます。

石英ガラスの物理特性まとめ

合成石英ガラスの主要物理特性
特性項目 数値 / 内容
密度 2.203 g/cm³
モース硬度 5.3 – 6.5
熱膨張係数 (20–320 °C) 5.5 × 10⁻⁶/K
軟化点 約 1665 °C
屈折率 (nd) 1.4585
アッベ数 (Vd) 67.82
透過範囲 160 nm ~ 5000 nm (最適範囲: 180~2700 nm)
電気抵抗率 > 10¹⁰ Ω·m

Frequently Asked Questions

合成石英(Fused Silica)と石英ガラス(Fused Quartz)の違いは何ですか?

一般的にこれらは同じ意味で使われますが、厳密には製造方法が異なります。Fused Quartzは天然の石英砂を融解させたものを指し、Fused Silicaは化学的に合成された超高純度のものを指すことが多いです。合成されたものは不純物が極めて少なく、特に深紫外線領域での透過性に優れています。

なぜ普通のガラスよりも高価なのですか?

融点が約2200°Cと極めて高く、融解させるために膨大なエネルギーと特殊な設備(電気炉やプラズマ炎など)が必要だからです。また、高純度な原料の調達や、不純物を排除する高度な製造プロセスがコストを押し上げています。

どのような化学物質に弱いことがありますか?

石英ガラスはほとんどの酸に対して非常に強い耐性を持ちますが、唯一、フッ化水素酸(HF)には非常に弱く、低濃度であっても激しく反応して腐食されます。

「UVグレード」と「IRグレード」はどう使い分けるべきですか?

紫外線領域(短波長)の透過を重視する場合は、金属不純物を極限まで減らした「UVグレード」を選択します。一方で、赤外線領域(長波長)の透過を重視する場合は、製造過程で水酸基(OH基)の混入を抑えた「IRグレード」が適しています。

結晶質の石英(水晶)との違いは何ですか?

化学組成(SiO₂)は同じですが、構造が異なります。水晶は規則正しく並んだ「結晶構造」を持ち、複屈折という特性がありますが、石英ガラスは不規則な「非晶質(アモルファス)構造」であり、等方的な光学特性と優れた耐熱衝撃性を備えています。

References

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  2. "Quartz vs. Fused Silica: What's the Difference?". Swift Glass. 2015-09-08. Retrieved 2017-08-18.
  3. De Jong, Bernard H. W. S.; Beerkens, Ruud G. C.; Van Nijnatten, Peter A. (2000). "Glass". Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry. :10.1002/14356007.a12_365.  .
  4. Kitamura, Rei; Pilon, Laurent; Jonasz, Miroslaw (2007-11-19). "Optical Constants of Silica Glass From Extreme Ultraviolet to Far Infrared at Near Room Temperatures" (PDF). Applied Optics. 46 (33): 8118–8133. :2007ApOpt..46.8118K. :10.1364/AO.46.008118.  18026551.  17169097. Retrieved 2014-07-12.
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  6. Varshneya, Arun K. (2019). Fundamentals of inorganic glasses. John C. Mauro. Amsterdam: Elsevier S & T.  .  1101101049.
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  8. Salem, Jonathan (2012). "Transparent Armor Ceramics as Spacecraft Windows". Journal of the .
  9. Evaluation of Siliceous Cored Armor for the XM60 Tank Archived June 5, 2011, at the
  10. "Intel 1702A 2K (256 x 8) UV Erasable PROM" (PDF).

📸 フォトギャラリー

This fused quartz sphere was manufactured for use in a gyroscope in the Gravity Probe B experiment. It is one of the most accurate spheres ever manufactured, deviating from a perfect sphere by no more than 40 atoms of thickness.[1]
60 inches (150 cm) fused quartz mirror blank for the McMath–Pierce solar telescope in 1962
Fused quartz laboratory glassware
2.4 meter fused quartz mirror of the Hubble Space Telescope
Fused quartz laser cavities for comb frequency generation
An EPROM with fused quartz window in the top of the package
Phosphorescence in fused quartz from an extremely intense pulse of UV light in a flashtube, centered at 170 nm