夜空を見上げたとき、ある星が「どの方向の、どのくらいの高さにあるか」を直感的に示す方法があります。それが地平座標系(水平座標系)です。このシステムは、観測者が立っている場所の地平線を基準面として、天体の位置を2つの角度で定義します。そのため、「alt-azシステム」や「方位・高度システム」とも呼ばれ、多くの天体望遠鏡の架台(経緯台)の設計思想にも取り入れられています。
Key Facts
- 高度(Altitude):地平線から天体までの垂直方向の角度(0°〜90°)。
- 方位角(Azimuth):北を基準に東回りに測った水平方向の角度。
- 観測者依存:場所や時間によって同じ星でも座標値が変化する。
- 天頂と天底:頭上の最高点を天頂、足元の正反対の点を天底と呼ぶ。
- 地平線:観測地の重力ベクトルに垂直な面であり、空を上下の半球に分ける。
地平座標系の仕組みと定義
地平座標系では、観測者を中心とした仮想的な球体(天球)を想定します。この天球を、観測者の足元にある地平線が真っ二つに分けることで、「見える側」の上半球と、「地球に遮られて見えない側」の下半球に区分します。この境界となる大円を天球地平線と呼びます。
このシステムで天体の位置を特定するために用いられるのが、以下の2つの独立した角度です。
1. 高度(Altitude / Elevation)
高度とは、地平線からその天体まで見上げた角度のことです。地平線上が0°、真上の点である天頂(Zenith)が90°となります。なお、天頂から天体までの角度を「天頂距離」と呼び、高度と合わせて90°になる補角の関係にあります。
2. 方位角(Azimuth)
方位角は、地平線上のどの方向にあるかを示す角度です。一般的には真北を0°とし、東方向に向かって時計回りに計測します。ただし、一部の専門的なデータ形式(FITSなど)では、南を基準にするなど異なる定義が用いられる場合があります。

観測場所と時間による変動
地平座標系の最大の特徴は、星そのものではなく「観測者の視点」に固定されている点です。そのため、以下の要因で座標値が常に変動します。
- 地球の自転:地球が回転しているため、天体は空を西へ移動するように見え、高度と方位角は時間とともに変化します。
- 観測地点の違い:同じ瞬間に同じ星を見ていても、地球上の異なる場所にいる観測者同士では、それぞれの地平線が異なるため、得られる座標値は異なります。
この特性を利用して、天体が地平線から昇る(出)タイミングや沈む(没)タイミングを判断できます。高度が0°のとき、高度が増加していれば「出」、減少していれば「没」していることになります。
特殊な観測地点での挙動
観測する場所によっては、方位角の定義が成り立たなかったり、天体の動きが特異になったりします。
- 北極・南極点:北極点ではすべての方向が南になり、南極点ではすべての方向が北になります。そのため、方位角は定義できません。また、固定された天体は高度が変わらず、昇り沈りしません(太陽や月などは年間の赤緯変化により昇没します)。
- 赤道直下:天球の北極と南極がちょうど地平線上に位置します。
地平座標系のまとめ
| 項目 | 定義・基準 | 範囲/値 |
|---|---|---|
| 高度 (Alt) | 地平線から天体までの角度 | 0°(地平線)〜 90°(天頂) |
| 方位角 (Az) | 北を基準に東回りの角度 | 0°(北) / 90°(東) / 180°(南) / 270°(西) |
| 基準面 | 観測者の局所的な地平線 | 重力ベクトルに垂直な面 |
| 極点 | 天頂 (Zenith) / 天底 (Nadir) | 上下の正反対の点 |
Frequently Asked Questions
地平座標系とトポセントリック座標系の違いは何ですか?
地平座標系は観測者の「向き(方向)」を定義するものであり、原点の位置自体は定義しません。一方、トポセントリック座標系は地球表面上の「原点の位置」を定義し、地球中心の座標系(ジオセントリック)と区別するためのものです。
実際の観測で、地平線は常に高度0°として扱えますか?
厳密には異なります。地球の曲率により、高い場所に登るほど見かけ上の地平線はわずかにマイナスの高度に下がります。また、大気屈折の影響で、地平線付近の天体は実際よりも約0.5度高く見える現象が起こります。
北半球で天体が「昇っているか」を方位角で判断する方法は?
北半球の観測者の場合、天体の方位角が0°から180°(北→東→南)の間にあれば、その天体は高度を上げている(昇っている)状態にあります。逆に180°から360°(南→西→北)の間にあれば、高度を下げている(沈んでいる)状態です。
なぜ天体望遠鏡にこの座標系が使われているのですか?
経緯台(Alt-Az mount)と呼ばれる架台は、上下(高度)と左右(方位)の2軸で動くため、地平座標系と完全に一致しており、直感的かつシンプルに操作できるためです。
References
- Note that the special conditions described are strictly true only regarding the geometric horizon. That is, the horizon as it would appear for an observer on a perfectly smooth Earth without an atmosphere, for an observer at . In practice, the apparent horizon has a slight negative altitude due to the curvature of Earth, the value of which gets more negative as the observer ascends higher above . In addition, causes celestial objects very close to the horizon to appear about half a degree than they would if there were no atmosphere.
- Not to be confused with linear , in units of length.
- Not to be confused with linear , in units of length.
- Alternatively, may be used instead of altitude, as they are (the sum of the altitude angle and the zenith angle is 90°).