Scheme of a submarine eruption. Water vapor cloudWaterStratumLava flowMagma conduitMagma chamberDikePillow lava
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海底火山のメカニズムと深海生態系への影響

地球上の火山活動の多くは、私たちの目に見えない深い海の底で起きています。海底火山とは、海底の地殻にある裂け目や噴出口からマグマが噴出する現象を指します。その多くはプレートが広がる「中央海嶺」付近に集中しており、地球全体のマグマ放出量の約75%がこの海嶺から供給されていると推定されています。

世界には100万個以上の海底火山が存在すると考えられていますが、その大部分はすでに活動を停止しています。その中でも、海底から1km以上の高さを持つものは約7万5千個にのぼります。一方で、過去1万1700年間に噴火したことが確認されているのは、わずか119個に過ぎません。

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Key Facts

  • 圧倒的な数: 世界に100万個以上の海底火山が存在し、約7万5千個が高さ1kmを超える。
  • マグマの供給源: 中央海嶺の火山だけで、地球全体のマグマ放出量の75%を占める。
  • 特有の地形: 急峻に盛り上がった「海山」や、冷却速度の違いで生まれる「枕状溶岩」が特徴。
  • 深海の特異点: 水深2,200mを超えると水が「超臨界流体」となり、沸騰しなくなる。
  • 生態系の拠点: 火山周辺の熱水噴出孔は、多様な生物が集まる生命のオアシスとなっている。

海山と深海の地形的特徴

海底火山の中には、海底から1,000メートル以上急激に突き出した海山と呼ばれる地形を形成するものがあります。海山の多くは活動を終えた死火山であり、世界に約3万個存在するとされていますが、詳細に調査されたものはごく一部です。

通常、海山の頂上は数百から数千メートルの深海に位置していますが、例外的な例もあります。例えばカナダの太平洋海域にあるボウイ海山は、水深約3,000メートルから急上昇し、海面までわずか24メートルという極めて浅い位置に頂上があります。

Pillow lava formed by a submarine volcano

水圧と温度が変える噴火の性質

水中での噴火は、陸上の火山とは全く異なる挙動を示します。最大の違いは、海水による急激な冷却です。マグマが水に触れると瞬時に冷えて固まり、火山ガラスへと変化することがあります。この際、溶岩の周囲に固い外殻ができ、その内部に新しい溶岩が流れ込むことで、丸い塊が連なったような枕状溶岩が形成されます。

また、水深約2,200メートル(圧力約22.06MPa)を超えると、水は沸騰せず超臨界流体という特殊な状態になります。この状態では気泡による沸騰音が鳴らないため、ハイドロフォン(水中マイク)を用いた遠距離からの噴火検知が困難になります。なお、海水に含まれる塩分などの影響で、実際の臨界点は温度407℃、圧力29.9MPa程度まで上昇すると考えられています。

音響解析による噴火の正体解明

科学者は、海底火山が発する「音」を分析することで、噴火の形態を判別しています。具体的には、大きな溶岩の泡がゆっくりと弾ける音と、小さなガス気泡が激しく爆発する音の2種類に分類されます。これにより、溶岩の量や組成を推定し、海洋生態系への影響をモデル化することが可能です。

2009年には、サモア近海の水深1,200メートルに設置されたカメラとハイドロフォンにより、西マタ火山の噴火が記録されました。映像と音声を同期させることで、溶岩の破裂音とガス気泡の騒音を明確に区別することに成功しました。

Circular plumes from a submarine eruption near Tonga
Deepest ever filmed submarine volcano, West Mata, May 2009.[6]

最新の探査技術と研究事例

NOAA(アメリカ海洋大気庁)などの機関は、遠隔操作車両(ROV)を用いて「リング・オブ・ファイア(環太平洋火山帯)」などの調査を行っています。これにより、溶融硫黄の池や「ブラックスモーカー」と呼ばれる熱水噴出孔、そして極限環境に適応した生物たちの姿が明らかになりました。また、ハワイ沖の調査では、陸上のパホイホイ溶岩に似た流れが海底でも発生しており、地形の傾斜や溶岩の供給量によってその形状が決まることが示唆されています。

さらに、2019年にフィジーとトンガの間で発見された巨大な軽石の集積(軽石ラフト)は、衛星画像による火山噴煙の観測から、近隣の海底火山が原因であることが判明しました。こうしたデータは、機械学習を用いて低周波地震などの前兆現象から噴火を予測する研究に活用されています。

噴火に至らないマグマの圧力リスク

海底火山の脅威は、必ずしも「噴火」だけではありません。ギリシャのサントリーニ島周辺では、アフリカプレートがエーゲ海マイクロプレートの下に沈み込むことで、激しい地殻変動が起きています。ある時期、この地域でマグニチュード5.0を超えるものを含む2万8千回以上の地震が発生しました。

調査の結果、海底4km下に約3億立方メートルのマグマが貫入していたことが判明しました。これは噴火こそしなかったものの、地下に蓄積された膨大な圧力が地震を引き起こし、住民に避難を強いた事例です。海底のマグマシステムによる圧力上昇は、噴火せずとも深刻な災害をもたらす可能性があることを示しています。

比較項目 海底火山 陸上火山
冷却速度 極めて速い(海水による) 相対的に遅い(空気による)
代表的な溶岩形態 枕状溶岩、火山ガラス 溶岩流、火山灰
検知方法 ハイドロフォン、衛星、ROV 地震計、目視、気象観測
特有の現象 超臨界流体化、熱水噴出孔 噴煙柱、火砕流

Frequently Asked Questions

海底火山はどれくらいありますか?

地球全体で100万個以上の海底火山が存在すると推定されています。その多くは活動を停止していますが、約7万5千個は海底から1km以上の高さを持つ大きな山となっています。

「枕状溶岩」とはどのようなものですか?

溶岩が海水に触れて急冷され、表面に固い皮膜(外殻)ができた状態で、その内部にさらに溶岩が押し込まれることで形成される、枕のような丸みを帯びた形状の溶岩のことです。

深海ではなぜ水が沸騰しないのですか?

水深約2,200メートルを超える場所では、水圧が非常に高いため(臨界圧を超えているため)、液体から気体へ相転移せず「超臨界流体」という状態になるためです。

海底火山が噴火しなくても危険なことはありますか?

はい。サントリーニ島の事例のように、海底下にマグマが貫入して圧力が蓄積されることで、大規模な群発地震が発生し、地上の居住区に影響を与える可能性があります。

海底火山の近くにはどのような生物がいますか?

熱水噴出孔などの周辺では、太陽光に頼らず化学合成によってエネルギーを得る特殊な生態系が構築されており、過酷な高温・高圧環境に適応した多様な生物が生息しています。

References

  1. Martin R. Speight, Peter A. Henderson, "Marine Ecology: Concepts and Applications", John Wiley & Sons, 2013.  .
  2. Venzke, E., ed. (2013). "Holocene Volcano List". Volcanoes of the World (version 4.9.1). . Retrieved 18 November 2020.
  3. Venzke, E., ed. (2013). "How many active volcanoes are there?". Volcanoes of the World (version 4.9.1). . Retrieved 18 November 2020.
  4. Nybakken, James W. and Bertness, Mark D., 2005. Marine Biology: An Ecological Approach. Sixth Edition. Benjamin Cummings, San Francisco
  5. Michael E. Q. Pilson, "An Introduction to the Chemistry of the Sea", 2nd edition. Cambridge University Press, 2013.
  6. "Scientists Discover and Image Explosive Deep-Ocean Volcano". . 2009-12-17. Retrieved 2009-12-19.
  7. Scientificamerican.com 2015-04-22 Undersea Volcano Explodes as Scientists Watch
  8. Dziak, R. P.; Bohnenstiehl, D. R.; Baker, E. T; Matsumoto, H.; ; Embley, R. W.; Merle, S. G.; Walker, S. L.; Lau, T.-K.; Chadwick, W. W. (2015). "Long-term explosive degassing and debris flow activity at West Mata submarine volcano" (PDF). Geophysical Research Letters. 42 (5): 1480–1487. :2015GeoRL..42.1480D. :10.1002/2014GL062603.
  9. Umino, Susumu; Lipman, Peter W.; Obata, Sumie (2000-06-01). "Subaqueous lava flow lobes, observed on ROV KAIKO dives off Hawaii". Geology. 28 (6): 503–506. :2000Geo....28..503U. :10.1130/0091-7613(2000)28<503:SLFLOO>2.0.CO;2.  0091-7613.
  10. Guardian Staff (2019-08-25). "Massive pumice 'raft' spotted in the Pacific could help replenish Great Barrier Reef". the Guardian. Retrieved 2021-03-19.

📸 フォトギャラリー

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Pillow lava formed by a submarine volcano
Circular plumes from a submarine eruption near Tonga
Deepest ever filmed submarine volcano, West Mata, May 2009.[6]