地球の地殻を構成する主要な岩石の一つである火成岩(magmatic rock)は、灼熱のマグマや溶岩が冷却され、凝固することで形成されます。ラテン語で「火」を意味する「igneus」に由来するこの岩石は、堆積岩や変成岩と並び、地球の地質学的構造を理解する上で欠かせない存在です。
火成岩は、地表から地下深部に至るまで多様な環境で形成されます。地殻の最上層16kmの体積の約90〜95%は火成岩と変成岩で占められており、特に海洋地殻の大部分は火成岩によって構成されています。

Key Facts
- 形成プロセス: マグマや溶岩の冷却・凝固によって誕生する。
- 主な分類: 地下で固まる「深成岩(貫入岩)」と、地表で固まる「火山岩(噴出岩)」に分かれる。
- 化学的指標: 二酸化ケイ素(SiO2)の含有量によって、フェルシックからウルトラマフィックまで分類される。
- 分布: 海洋地殻の主成分であり、陸地表面の約15%を占める。
マグマはどのようにして生まれるのか
マグマは、地球のマントルや地殻にある既存の岩石が部分的に溶けることで生成されます。岩石が融点に達して液体になるには、主に以下の3つのメカニズムが関与しています。
1. 圧力の低下(減圧融解)
通常、岩石の融点は圧力が高くなるほど上昇します。しかし、マントルの対流によって高温の岩石が浅い場所へ上昇すると、周囲の圧力が下がるため、温度がそれほど低下しなくても融点以下となり、溶け始めます。これは地球の進化において極めて重要なプロセスです。
2. 水や二酸化炭素の添加(フラックス融解)
岩石に水が加わると、融点が劇的に低下します。例えば、深さ100km付近のかんらん岩は、水がない場合は約1,500℃以上で溶けますが、水が存在すると約800℃で溶け始めます。沈み込み帯では、海洋プレートから放出された水が上方のマントルを溶かし、島弧などの火山活動を引き起こします。また、二酸化炭素の添加も一部の特殊なマグマ生成に寄与します。
3. 温度の上昇
地殻内部にマントル由来の高温マグマが貫入したり、プレートの衝突によって地殻が厚くなり内部温度が上昇したりすることで、岩石が溶けます。チベット高原のような地域では、このメカニズムによる地殻の溶融が観察されています。

火成岩の分類:場所と組織による違い
火成岩は、マグマがどこで冷却されたかによって大きく2つのタイプに分けられます。
深成岩(貫入岩)
地下深くでゆっくりと時間をかけて冷却される岩石です。冷却速度が遅いため、結晶が大きく成長し、肉眼で鉱物が見える「等粒状組織」を持つことが一般的です。代表例に花崗岩や斑れい岩があります。

地下での貫入形態には、岩脈(dike)や岩床(sill)、あるいは巨大な岩体である底盤(batholith)など、多様な形状が存在します。

火山岩(噴出岩)
地表や地表付近で急速に冷却される岩石です。冷却が早いため結晶が小さく、あるいは結晶が全くできない天然ガラス(黒曜石など)になります。代表例に玄武岩や安山岩、流紋岩があります。

溶岩の挙動は、温度や成分による「粘性」に左右されます。玄武岩質マグマは粘性が低くさらさらと流れますが、流紋岩質マグマは非常に粘性が高く、爆発的な噴火を起こしやすい傾向があります。

また、溶岩が冷却される際に収縮することで、規則的な割れ目である「柱状節理」が形成されることがあります。

化学組成と鉱物による分類
火成岩の性質を決定づけるのは、主にケイ素(Si)、酸素(O)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)などの元素です。特に二酸化ケイ素(SiO2)の含有量に基づいた分類が一般的です。
| 組成区分 | SiO2含有量 | 深成岩(貫入) | 火山岩(噴出) |
|---|---|---|---|
| フェルシック (Felsic) | 63% 超 | 花崗岩 | 流紋岩 |
| 中間的 (Intermediate) | 52% 〜 63% | 閃緑岩 | 安山岩 |
| マフィック (Mafic) | 45% 〜 52% | 斑れい岩 | 玄武岩 |
| ウルトラマフィック (Ultramafic) | 45% 未満 | かんらん岩 | コマタイト |
詳細な分類には、鉱物の比率を示すQAPF図や、アルカリ量とシリカ量を用いるTAS図などの分析手法が用いられます。


![Total alkali versus silica classification scheme (TAS) as proposed in Le Maitre's 2002 Igneous Rocks – A classification and glossary of terms[21] Blue area is roughly where alkaline rocks plot; yellow area is where subalkaline rocks plot.](/images/f5/0b/f50bb1951af41b6ca1c035984bd75414522c815673b71d9d76d2502a4fe00f01.webp)
また、玄武岩のサンプルに見られるような微細な組織は、急速な冷却の証拠となります。

一方で、斑れい岩のような深成岩では、ゆっくりとした冷却により明瞭な結晶構造(等粒状組織)が発達します。

マグマの進化と分化作用
マグマは冷却される過程で、すべての成分が同時に固まるわけではありません。温度に応じて特定の鉱物が先に結晶化して分離する分化作用(fractional crystallization)が起こります。
例えば、マフィックな組成のマグマから、かんらん石や輝石が先に結晶として取り除かれると、残った液体(残液)は次第にシリカに富んだフェルシックな組成へと変化します。これにより、一つの親マグマから異なる種類の岩石が生成されることがあります。


Frequently Asked Questions
火成岩と火山岩の違いは何ですか?
火成岩はマグマからできた岩石の総称です。その中で、地表に噴出した溶岩が固まったものを「火山岩」、地下でゆっくり固まったものを「深成岩」と呼びます。
なぜ玄武岩は黒っぽく、花崗岩は白っぽいのですか?
これは含まれる鉱物の違いによるものです。玄武岩は鉄やマグネシウムを多く含む暗色の鉱物(マフィック鉱物)が主成分であるため黒っぽくなります。一方、花崗岩は石英や長石など、シリカを多く含む明るい色の鉱物(フェルシック鉱物)が主成分であるため白っぽく見えます。
マグマができるために最も重要な要素は何ですか?
状況によりますが、沈み込み帯などの環境では「水の添加」が非常に重要です。水が加わることで岩石の融点が下がり、通常では溶けない温度でもマグマが生成されるためです。
柱状節理とは何ですか?
溶岩が冷却・凝固する際に、体積が収縮することで形成される多角形の柱状の割れ目のことです。玄武岩などの火山岩によく見られる特徴的な構造です。
分化作用とはどのような現象ですか?
マグマが冷えていく過程で、融点の高い鉱物から順番に結晶化して分離していく現象です。これにより、元のマグマとは異なる化学組成を持つ新しいマグマ(残液)が作られます。
References
- 15% is the arithmetic sum of the area for intrusive plutonic rock (7%) plus the area for extrusive volcanic rock (8%).
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![Total alkali versus silica classification scheme (TAS) as proposed in Le Maitre's 2002 Igneous Rocks – A classification and glossary of terms[21] Blue area is roughly where alkaline rocks plot; yellow area is where subalkaline rocks plot.](/images/f5/0b/f50bb1951af41b6ca1c035984bd75414522c815673b71d9d76d2502a4fe00f01.webp)

