← ホームへ戻る

鳳凰衛視(Phoenix Television)の概要と影響力中国・香港を拠点とするグローバル放送局

鳳凰衛視は、中国本土、香港、マカオ、および世界中の中国語圏の人々に向けて、標準中国語(マンダリン)と広東語のチャンネルを運営する大規模なテレビネットワークです。深センと香港に拠点を置き、ケイマン諸島に登記されているこの放送局は、その運営形態から実質的に中国政府が支配する国営企業としての側面を強く持っています。

同局は自らを香港のメディア組織と定義していますが、香港では「非国内テレビ番組サービス」のライセンスの下で活動しています。主要な資産や顧客の多くは中国本土に集中しており、最大株主は中国政府が完全所有する紫荊文化(Bauhinia Culture)です。そのため、外部からは親北京的な立場にあると評される一方で、中国本土の国営放送に比べれば、時に自由な視点を持つという分析もなされています。

Key Facts

  • 設立: 1996年3月31日
  • 拠点: 中国・広東省深センおよび香港(大埔)
  • 主要言語: 標準中国語(マンダリン)、広東語
  • 所有構造: 紫荊文化(中国政府所有)が主要株主となる国営企業形態
  • 放送範囲: 全世界
  • 主要人物: 創設者の劉長樂氏、および運営を担う劉爽氏ら

沿革とグローバル展開

鳳凰衛視は、香港のStar TV、中国の民間企業、そして中国中央電視台(CCTV)の合弁事業として誕生しました。1996年3月31日に「鳳凰中文台」が放送を開始し、それまで香港と中国本土で展開していたStar Chinese Channelに取って代わりました。初期には、ゴールデンタイムに『Xファイル』や『ベイウォッチ』といった米国ドラマの中国語吹き替え版を放送し、視聴者を惹きつけました。

その後、ネットワークは急速に拡大し、1999年には欧州へ、2001年には北米へ進出しました。2011年には広東語専用の「鳳凰香港台」を開設し、地域性に特化したコンテンツ提供を強化しています。また、デジタル戦略としてPhoenix New Mediaを運営し、BBCやカナダ国立映画庁(NFB)と提携してデジタルプラットフォームでのコンテンツ配信を行うなど、メディアの多角化を推進してきました。

一方で、政治的な波紋を呼ぶ出来事もありました。2016年には香港の書店店主による強制的な自白映像を放送したほか、2022年には台湾政府から中国政府の資金提供を受けている企業と認定され、台湾国内での活動停止を命じられています。

組織構造とガバナンス

鳳凰衛視の創設者である劉長樂(Liu Changle)氏は、元人民解放軍の政治指導員であり、文化大革命後には中国共産党が管理する中国国家電台のジャーナリストとして活動した経歴を持ちます。同氏は中国指導部と密接な関係を築き、全国政協の常任委員も務めています。

所有構造は時代とともに変化しました。設立当初はStar TVと中国民間企業がそれぞれ45%、CCTVが10%を保有していましたが、その後、ニュースコーポレーション(後の21世紀フォックス)の出資比率は低下し、2013年にはTPGキャピタルに売却されました。2021年には、劉長樂氏が保有していた株式の大部分が、国営の紫荊文化および順徳控股(Shun Tak Holdings)に譲渡されました。

主要株主の構成(2018年時点)

2018年の年次報告書に基づく所有構造は以下の通りです。

鳳凰衛視の所有構造(2018年)
株主名 保有株数 比率 備考
Today's Asia Limited 18億5,400万株 37.13% 劉長樂氏が完全所有
Extra Step Investments Limited 9億8,300万株 19.69% 中国移動香港(国営中国移動傘下)が所有
TPG China Media, L.P. 6億700万株 12.16% TPGキャピタル傘下
China Wise International Limited 4億1,200万株 8.25% 中国銀行(中央匯金投資経由)が所有

放送コンテンツと技術仕様

同局は、ニュース、エンターテインメント、映画など多岐にわたる番組を提供しています。放送形式はHDTV 1080iを採用しており、高精細な映像を世界中に配信しています。深センのオフィスは、全テレビ番組制作の約半分を担う重要な拠点となっています。

運営する主なチャンネルには、ニュースに特化した「鳳凰資訊台」や、映画を専門に扱う「鳳凰電影台」などがあり、視聴者のニーズに合わせた多様なラインナップを展開しています。

Frequently Asked Questions

鳳凰衛視はどのような性質のメディアですか?

香港に拠点を置くメディア組織として活動していますが、実態は中国政府が所有する紫荊文化が最大株主である国営企業に近い放送局です。世界中の中国語話者をターゲットにしています。

創設者の劉長樂氏はどのような人物ですか?

元人民解放軍の政治指導員であり、中国国家電台のジャーナリストとしての経歴を持つ人物です。中国共産党指導部と強いパイプを持っており、同局を世界的なネットワークへと成長させました。

どのような言語で放送されていますか?

主に標準中国語(マンダリン)と広東語の2つの言語で放送を行っています。特に香港向けには広東語専用のチャンネルを運営しています。

台湾や米国での活動状況はどうなっていますか?

台湾では2022年に中国政府の資金提供を受けていると認定され、活動停止を命じられました。米国では、2020年にFCC(連邦通信委員会)が同局所有のラジオ局に対し、放送停止を命じた事例があります。

どのような番組を制作していますか?

ニュース、ドキュメンタリー、エンターテインメント番組などを幅広く制作しています。過去には米国ドラマの吹き替え放送や、中国の出稼ぎ労働者に焦点を当てた報道でピーボディ賞を受賞した実績もあります。

References

  1. "Annual Report" (PDF). 2018. pp. 137–138. Archived (PDF) from the original on 6 June 2021. Retrieved 9 April 2020.
  2. Zhang, Wenxian; Wang, Huiyao; Alon, Ilan (6 May 2011). Entrepreneurial and Business Elites of China: The Chinese Returnees Who Have Shaped Modern China. . p. 98.  .  860625448. Archived from the original on 3 August 2020. Retrieved 9 April 2020.
  3. (19 September 2005). "Making Waves, Carefully, on the Air in China". .  0190-8286. Archived from the original on 14 July 2017. Retrieved 9 April 2020.
  4. "Liu Changle". World Economic Forum. Archived from the original on 3 March 2020. Retrieved 9 April 2020.
  5. "'Do you work for China?': Trump confronts Hong Kong-based reporter during coronavirus briefing". . 7 April 2020. Archived from the original on 29 April 2020. Retrieved 28 April 2020.
  6. "Non-domestic Television Programme Service". Communications Authority. Archived from the original on 18 October 2021. Retrieved 28 April 2020.
  7. "Annual Results Announcement for the Year Ended 31 December 2019" (PDF). Archived (PDF) from the original on 25 October 2021. Retrieved 28 April 2020.
  8. "打造文化旗舰!紫荆文化集团在深圳发布多个重磅文化项目". www.163.com (in Chinese). 22 September 2021. Archived from the original on 24 September 2021. Retrieved 4 August 2024.
  9. Cook, Sarah (4 May 2017). "Chinese Government Influence on the U.S. Media Landscape" (PDF). . Archived (PDF) from the original on 13 April 2020. Retrieved 11 April 2020.
  10. (16 May 2016). "Cultural Revolution: No desire to dwell on the past". . Archived from the original on 21 January 2022. Retrieved 21 January 2022.