Two reporters, one with a camera, interview Amazon Labor Union President Chris Smalls outside of the NLRB office.
← ホームへ戻る

Amazon Labor Union (ALU) の歩みと労働運動への影響

世界最大のECプラットフォームであるアマゾンの従業員が、自らの権利を守るために立ち上がりました。Amazon Labor Union (ALU) は、従来の労働組合の枠組みにとらわれない草の根的なアプローチで、米国における労働運動に新たな風を吹き込んだ組織です。

この組織は、単なる賃金交渉の手段ではなく、21世紀型の連帯を模索する動きとして始まりました。現場の労働者が主体となり、巨大企業に対峙して勝ち取った歴史的な成果と、その後の展開について詳しく解説します。

Key Facts

  • 設立日: 2021年4月20日
  • 歴史的快挙: 2022年4月1日、ニューヨーク州スタテンアイランドのJFK8倉庫で米国初のアマゾン労働組合が認定された。
  • 組織形態: 当初は独立した草の根組織として活動し、2024年6月に全米トラック運転手組合(Teamsters)に加盟。
  • 現リーダーシップ: 会長にConnor Spence氏、副会長にBrima Sylla氏が就任している。

ALUの誕生と草の根運動の背景

ALUの原点は、労働活動家であるクリス・スモールズ氏が設立した「エッセンシャルワーカー会議(TCOEW)」にあります。スモールズ氏は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応を巡り、JFK8施設で抗議のウォークアウトを主導しましたが、その結果としてアマゾン社から解雇されました。この不当な解雇に対する政府関係者からの批判が、さらなる組織化への追い風となりました。

スモールズ氏は、既存の労働組合がアマゾンのような巨大企業に対して十分な成果を上げていないと感じていました。そこで、トップダウンではなく、現場の労働者が自発的に団結する「21世紀型の組合作り」を目指し、ALUを立ち上げたのです。

Two reporters, one with a camera, interview Amazon Labor Union President Chris Smalls outside of the NLRB office.

この革新的なアプローチは国内外で注目を集め、カナダ、インド、南アフリカ、イギリスなど、世界各国の50以上の倉庫から組織化への支援要請が寄せられるまでになりました。

JFK8倉庫での歴史的勝利と課題

2022年3月、ニューヨーク州スタテンアイランドのJFK8倉庫で組合結成に向けた投票が行われました。その結果、賛成2,654票、反対2,131票となり、全米で初めてアマゾン従業員による独立した労働組合が正式に誕生しました。この出来事は、世代交代レベルの労働運動の勝利であると高く評価され、ジョー・バイデン米大統領からも祝辞が贈られました。

しかし、道は平坦ではありませんでした。アマゾン社は、組合側が従業員を威圧した、あるいは投票所に不適切な物品を持ち込んだとして、全米労働関係委員会(NLRB)に異議を申し立てました。しかし、2023年1月11日、NLRBの地域ディレクターはこれらの異議を棄却し、ALUをJFK8の正規・非正規時間給従業員の独占的代表として正式に認定しました。

拡大への挑戦と挫折

ALUは勢いに乗り、ニューヨーク市内の別の倉庫(LDJ5)でも組合化を試みました。2022年5月の投票では、賛成380票に対し反対618票となり、2つ目の倉庫への拡大は叶いませんでした。この結果は、個別の施設ごとに異なる労働環境や心理的障壁があることを浮き彫りにしました。

組織の進化とTeamstersへの加盟

独立した組織として活動してきたALUですが、運営資金の確保や団体交渉力の強化という課題に直面していました。2023年3月時点では、オミディヤール・ネットワークから25万ドルの寄付を受けるなど、外部団体からの支援に依存していた状況でした。

こうした背景から、2024年6月、ALUは全米トラック運転手組合(Teamsters)との提携に合意し、メンバーの投票を経て正式に加盟しました。これにより、ALUは独立性を維持しつつ、Teamstersが持つ強大な財務リソースと組織的なノウハウを活用することが可能となりました。

加盟後、Teamstersはニューヨーク、ジョージア、カリフォルニア、イリノイ州のアマゾン拠点に対してストライキを宣言しました。特にクリスマス前の繁忙期に合わせた行動は、企業の物流網に大きな影響を与える戦略的なものでしたが、アマゾン側は組合が労働者のニーズを正しく代表していないと主張し、対立が続いています。

ALUの概要まとめ

Amazon Labor Union (ALU) 基本情報
項目 詳細
設立日 2021年4月20日
主な目的 アマゾン従業員の労働条件改善と権利保護
主要拠点 ニューヨーク州スタテンアイランド(JFK8)
現在の提携先 Teamsters(全米トラック運転手組合)
主要役員 Connor Spence (会長), Brima Sylla (副会長)

Frequently Asked Questions

ALUはどのような経緯で設立されましたか?

元従業員のクリス・スモールズ氏が、パンデミック中の労働環境への抗議で解雇されたことをきっかけに、現場主導の草の根運動として2021年に設立されました。

JFK8倉庫での投票結果はどうなりましたか?

2022年4月、賛成2,654票、反対2,131票で組合結成が決定し、米国で初めてアマゾンの倉庫で労働組合が認定されました。

なぜALUはTeamstersに加盟したのですか?

独立した組織としての運営資金の不足を解消し、より強力な交渉力とリソースを確保して、実効性のある労働契約を勝ち取るためです。

アマゾン社は組合の結成に同意していますか?

いいえ。アマゾン社はNLRBに対して選挙プロセスの不備を訴え、結果の覆しを試みるなど、組合の認定に対して強く反発しています。

ALUは他の倉庫でも成功していますか?

JFK8では成功しましたが、LDJ5倉庫での投票では反対多数となり、すべての施設で組合化を実現できているわけではありません。

References

  1. Greenhouse, Steven (June 4, 2021). "Amazon fired him – now he's trying to unionize 5,000 workers in New York". Archived from the original on June 4, 2021. Retrieved October 26, 2021.
  2. O'Brien, Sara Ashley (April 1, 2022). "Amazon workers at New York warehouse vote to form company's first US union". . Retrieved April 1, 2022.
  3. "Amazon Labor Union members vote overwhelmingly in favor of an affiliation with the Teamsters". AP News. June 18, 2024. Retrieved June 19, 2024.
  4. Rubio-Licht, Nat; Irwin, Veronica (February 8, 2022). "Amazon's union fight: Here's what's happening now". . Archived from the original on February 19, 2022. Retrieved February 19, 2022.
  5. Feitelberg, Rosemary (May 11, 2020). "Amazon Whistleblower Chris Smalls to Launch Group for Essential Workers". WWD. Archived from the original on February 19, 2022. Retrieved February 19, 2022.
  6. Evelyn, Kenya (March 31, 2021). "Amazon fires New York worker who led strike over coronavirus concerns". . Archived from the original on February 18, 2022. Retrieved February 18, 2022.
  7. Selyukh, Alina (October 25, 2021). "Amazon warehouse workers in New York file for a union vote". . Archived from the original on April 1, 2022. Retrieved October 29, 2021. It's a product of a self-organized, grassroots worker group called the Amazon Labor Union, financed via GoFundMe.
  8. (April 2, 2020). "Amazon execs labeled fired worker 'not smart or articulate' in leaked PR notes". . Archived from the original on April 3, 2020. Retrieved October 26, 2021.
  9. Oladipo, Gloria (April 6, 2022). "'The revolution is here': Chris Smalls' union win sparks a movement at other Amazon warehouses". . Retrieved April 6, 2022.
  10. Selyukh, Alina (April 6, 2022). "Chris Smalls started Amazon's 1st union. He's now heard from workers at 50 warehouses". . Retrieved April 6, 2022.