ニューヨークに拠点を置くARTnewsは、古代から現代に至るまでの視覚芸術を幅広くカバーする、世界で最も長い歴史を持つ美術専門誌です。かつては印刷物として発行されていましたが、現在はデジタルメディアへと移行し、世界中のアートファンや専門家に最新のニュース、深い洞察、そして鋭い批評を提供し続けています。
同誌のコンテンツは多岐にわたり、特派員による速報的なニュースから、詳細な調査レポート、展覧会のレビュー、さらには著名なアーティストやコレクターへのインタビューまで、アート界の今を多角的に切り取っています。
Key Facts
- 創刊: 1902年(当初は「Hydes Weekly Art News」として創刊)
- 拠点: アメリカ合衆国 ニューヨーク州ニューヨーク市
- 現在の運営: Penske Media Corporation(PMC)
- 主な内容: 視覚芸術全般のニュース、批評、調査報道、コレクター分析
- 特筆事項: 世界最古のアート出版物であり、現在はデジタル中心の展開
ARTnewsの歩み:創刊からデジタル時代へ
黎明期と基盤の形成(1902年〜1936年)
1902年、ジェームズ・クラレンス・ハイドによって「Hydes Weekly Art News」として誕生しました。当初は1枚の紙面で構成される週刊誌であり、主に業界向けのトレード誌として、アーティストやギャラリー、美術館に関する情報を発信していました。

その後、1904年に「American Art News」へと名称を変更し、ページ数の拡大やイラストの導入など、誌面を充実させました。1923年には現在の名称に近い「The Art News」となり、1926年には年刊の特別号である「The Art News Annual」の刊行を開始するなど、徐々にその影響力を強めていきました。
批評の深化と拡大(1936年〜1972年)
1936年にアルフレッド・M・フランクフルターが買収したことで、誌風は大きく変化しました。特に1949年にエグゼクティブ・エディターとなったトーマス・B・ヘスは、ジャクソン・ポロックやウィレム・デ・クーニングらによる抽象表現主義やニューヨーク・スクールの作家たちを強力に支持し、批評的なエッセイや展覧会レビューに重点を置くスタイルを確立しました。
1962年にはワシントン・ポスト社に買収され、ニュースウィーク誌の部門に組み込まれましたが、1969年には現在の「ARTnews」という表記に統一されました。
ジャーナリズムの導入と黄金期(1972年〜2014年)
1972年、元ニューヨーク・タイムズの記者であるミルトン・エステロウが率いる投資グループが買収。エステロウは、単なる批評にとどまらない「報道としての美術誌」を目指し、調査報道の手法を導入しました。これにより、アート界の不透明な部分に光を当てるジャーナリスティックなアプローチが定着しました。
1990年には、世界的に影響力のある収集家をランク付けする「Top 200 Collectors」リストを開始。また、1980年代には発行部数を大幅に伸ばし、アメリカを代表する美術誌としての地位を不動のものにしました。
所有権の変遷とデジタルへの完全移行(2014年〜現在)
2014年以降、所有権はアビーハウス・グループや実業家のピーター・ブラントへと移り、その過程で競合誌であった「Art in America」との合併が行われました。その後、2018年に「Variety」や「Rolling Stone」を運営するPenske Media Corporation(PMC)が買収しました。
時代の流れに合わせ、2021年には定期的な四半期誌としての印刷版を終了し、デジタルパブリケーションへと完全に移行しました。ただし、「Top 200 Collectors」の特別号のみ、現在も印刷版として発行され続けています。
知的な遺産:影響を与えた寄稿と功績
ARTnewsは、単なるニュース媒体ではなく、美術史における重要な議論の場となってきました。例えば、1952年にハロルド・ローゼンバーグが発表した「The American Action Painters」は、アクション・ペインティングの定義と批評に決定的な影響を与えました。
また、1971年にリンダ・ノックリンが寄稿した「Why Have There Been No Great Women Artists?(なぜ偉大な女性芸術家はいなかったのか?)」は、フェミニズム美術史の原点とされる記念碑的な論文であり、制度的な障壁を指摘することで、多くの女性アーティストの再評価を促しました。
さらに、ナチスによる略奪美術品やソ連による美術品接収に関する鋭い調査報道を行い、1981年と1992年には文化報道におけるジョージ・ポーク賞を受賞するなど、ジャーナリズムとしての高い評価も得ています。
ARTnewsの概要まとめ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 創刊年 | 1902年 |
| 創設者 | ジェームズ・クラレンス・ハイド |
| 現在の親会社 | Penske Media Corporation |
| 主なフォーマット | オンライン(デジタル)※一部特別号のみ印刷 |
| 主要な功績 | ジョージ・ポーク賞(2回)、ナショナル・マガジン賞 |
| 代表的な企画 | Top 200 Collectors(世界の影響力ある収集家リスト) |
Frequently Asked Questions
ARTnewsは現在も雑誌として本屋で買えますか?
定期的な月刊・四半期誌としての印刷版は2021年に終了し、現在はデジタル版がメインとなっています。ただし、毎年発行される「Top 200 Collectors」の特別号のみ、現在も印刷物として出版されています。
どのような内容の記事が掲載されていますか?
古代美術から現代アートまで幅広く扱い、最新のニュース、展覧会のレビュー、アーティストのプロフィール、美術市場の分析、そして深い洞察に基づいた調査レポートなどが掲載されています。
「Top 200 Collectors」とはどのようなリストですか?
世界中の美術収集家の中から、アート界や市場への影響力が強い人物をランキング形式で紹介する特別企画です。キュレーターやディーラー、オークションハウスへの取材に基づき作成されており、収集トレンドの把握に役立つ資料となっています。
過去にどのような賞を受賞していますか?
調査報道の功績が認められ、1981年と1992年にジョージ・ポーク賞(文化報道部門)を受賞しています。また、1981年にはナショナル・マガジン賞の総合優秀賞も受賞しています。
どのような著名人が寄稿していましたか?
クレメント・グリーンバーグやハロルド・ローゼンバーグといった伝説的な批評家のほか、ジャン=ポール・サルトルやオールダス・ハクスリーなどの思想家、また多くの著名なキュレーターや歴史家が執筆に携わってきました。
References
- These names are sourced from articles in and .