雑誌や定期刊行物を世界的に一意に識別するためのコード、それがISSN(International Standard Serial Number)です。似たようなタイトルの刊行物が数多く存在する中で、正確に特定の媒体を特定し、管理するための不可欠なツールとして機能しています。
ISSNは、図書館のカタログ作成や相互貸借、注文業務など、シリアル文献(逐次刊行物)に関わるあらゆる実務で活用されています。1971年に国際標準化機構(ISO)によって草案が作成され、1975年に「ISO 3297」として正式に発行されました。現在はISOの小委員会 TC 46/SC 9 がこの規格の維持・管理を担っています。
Key Facts
- 定義: 雑誌などの逐次刊行物を識別するための8桁の国際標準コード。
- 管理主体: パリに拠点を置くISSN国際センター(CIEPS)が調整し、各国のナショナルセンターが割り当てを行う。
- 構成: 7桁の識別番号と1桁のチェックディジットで構成される。
- 媒体別管理: 紙媒体(p-ISSN)と電子媒体(e-ISSN)で異なる番号が付与される。
- 統合管理: 異なる媒体を紐付けるための「ISSN-L(リンキングISSN)」が存在する。
ISSNの構造と計算メカニズム
ISSNはハイフンで区切られた2つの4桁の数字で構成されています。最大の特徴は、末尾の1桁がチェックディジット(検証数字)である点です。この数字は0から9、あるいは「X」となり、入力ミスや読み取りエラーを検知するために使用されます。
チェックディジットの算出には「重み付き和」というアルゴリズムが用いられます。具体的には、最初の7桁にそれぞれ8から2までの重みを掛け合わせて合計し、その値を11で割った余りを利用して算出します。余りが0の場合はチェックディジットも0となり、それ以外の場合は11から余りを引いた値が採用されます。
例えば、あるジャーナルの番号が「0378-5955」である場合、最後の「5」がこの計算によって導き出された検証用の数字です。

バーコードへの展開(EAN-13)
ISSNは、商品管理に広く使われるEAN-13バーコードに組み込むことが可能です。この場合、国コードである「977」から始まり、ISSNのメイン7桁、出版社が定義する2桁、そしてEAN規格独自のチェックディジットが続きます。なお、EANのチェックディジットはISSN独自の計算方式とは異なるため、数値が一致しないのが一般的です。

さらに、号数などの詳細情報を付加したい場合は、EAN-2アドオンなどを組み合わせて運用されます。

媒体別の識別とISSN-Lの重要性
現代の出版環境では、同じ内容の雑誌が「印刷版」と「デジタル版」の両方で提供されることが一般的です。ISSNのルールでは、媒体(メディア)が異なれば異なる番号を割り当てることになっています。
しかし、媒体ごとに番号が分かれていると、コンテンツとしての同一性を管理することが困難になります。そこで導入されたのがISSN-L(Linking ISSN)です。これは、その刊行物が最初に発行された媒体のISSNをベースに設定され、あらゆる媒体バージョンのISSNを一つに結びつける役割を果たします。これにより、検索エンジンや図書館カタログでの効率的な検索と回収が可能になります。
運用管理とデータベース
ISSNの割り当ては、世界各国の国立図書館などに設置されたナショナルセンターのネットワークによって行われています。これらを統括するのが、ユネスコとフランス政府の合意により1974年に設立されたISSN国際センターです。
国際センターは、世界中で割り当てられたすべてのISSNを記録した「ISDSレジスター(ISSNレジスター)」というデータベースを維持しています。2016年末時点で、このレジスターには約194万件以上のレコードが登録されていました。
また、WorldCatなどの外部カタログサービスを利用してISSN検索を行うことも可能ですが、これはISSNレジスターそのものを検索しているのではなく、その番号を持つ資料をどの図書館が所蔵しているかを確認する仕組みとなっています。
他の識別子との比較と課題
ISSNは、書籍に付与されるISBNと似ていますが、決定的な違いがあります。ISBNが個別の書籍を指すのに対し、ISSNは「タイトル(刊行物全体)」に紐付く匿名的な識別子です。そのため、出版社や所在地などの情報は含まれていません。また、タイトルに大幅な変更があった場合は、新しいISSNが割り当てられます。
一方で、ISSNにはいくつかの課題もあります。最大の問題は「媒体指向」である点です。デジタル時代においては、PDFかHTMLかといった形式に関わらず「コンテンツ」として識別したいという需要が高まりました。これに対応するためにISSN-Lが定義されましたが、個別の論文レベルを識別するには、DOI(デジタルオブジェクト識別子)のような別の仕組みが主流となっています。
ISSNの概要まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 桁数 | 8桁(ハイフンで2分割) |
| 規格番号 | ISO 3297 |
| 管理組織 | ISSN国際センター(CIEPS) |
| 識別対象 | 逐次刊行物(雑誌、定期刊行物など) |
| 媒体区分 | p-ISSN(印刷)、e-ISSN(電子) |
| 統合識別子 | ISSN-L(リンキングISSN) |
Frequently Asked Questions
ISSNとISBNは何が違うのですか?
ISBNは個別の「本」に割り当てられる番号ですが、ISSNは雑誌などの「定期刊行物(シリーズ全体)」に割り当てられる番号です。一つの雑誌シリーズ全体にISSNが付与され、その中の特定の号にISBNが付与されるという併用ケースもあります。
同じ雑誌なのに番号が2つあるのはなぜですか?
ISSNは媒体ごとに異なる番号を割り当てるルールがあるためです。例えば、紙の雑誌として発行しているものと、ウェブサイトで公開している電子版がある場合、それぞれにp-ISSNとe-ISSNが付与されます。
ISSN-Lとはどのような役割を持つものですか?
ISSN-L(リンキングISSN)は、印刷版や電子版など、異なる媒体で展開されている同一コンテンツのISSNを一つに紐付けるための識別子です。これにより、媒体を問わず同じ刊行物を効率的に検索できるようになります。
チェックディジットに「X」が入っているのは間違いですか?
いいえ、正解です。ISSNのチェックディジットは11を法とする計算(モジュロ11)に基づいているため、計算結果が10になる場合に、1桁で表現するためにローマ数字の「X」が使用されます。
ISSNがあれば、個別の論文を特定できますか?
いいえ、ISSNは雑誌という「刊行物全体」を識別するものであり、個別の論文や記事を特定することはできません。個別の論文を識別するには、DOI(Digital Object Identifier)やSICIなどの別の識別子が利用されます。
References
- "What is an ISSN?". Paris: ISSN International Centre. Archived from the original on 16 July 2014. Retrieved 13 July 2014.
- "Collection Metadata Standards". British Library. Archived from the original on 15 July 2014. Retrieved 14 July 2014.
- "ISSN, a Standardised Code". Paris: ISSN International Centre. Archived from the original on 16 July 2014. Retrieved 13 July 2014.
- ISSN InterNational Centre. "The ISSN for electronic media". ISSN. Archived from the original on 11 October 2017. Retrieved 3 April 2020.
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- From the French, Centre International d'Enregistrement des Publications en Série
- "Linking ISSN (ISSN-L)". www.nationallibrary.fi. Archived from the original on 26 September 2015. Retrieved 23 December 2018.
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