The Evening Post and The Nation, 210 Broadway, Manhattan, New York
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The Nationアメリカ左派思想を牽引し続ける歴史的雑誌の軌跡

アメリカの政治的・社会的議論において、150年以上の歴史を持つThe Nationは、単なる雑誌以上の存在です。1865年の創刊以来、この刊行物は時代の転換点に立ち会い、権力への批判と社会正義の追求を続けてきました。奴隷制廃止運動の精神を継承し、現代の民主社会主義的な視点に至るまで、同誌はアメリカにおける「リベラリズム」の定義を絶えず更新し続けています。

Key Facts

  • 創刊日: 1865年7月6日(奴隷制廃止後の時代に誕生)
  • 拠点: アメリカ合衆国 ニューヨーク市
  • 主なカテゴリー: 政治、社会、文化、芸術
  • 発行形態: 月刊(以前は隔週刊)
  • 現在の編集長: D. D. Guttenplan
  • 発行元: The Nation Company, L.P.

誕生の背景とジャーナリズムの原点

The Nationのルーツは、ウィリアム・ロイド・ガリソンが主宰した奴隷制廃止論の新聞『The Liberator』にあります。合衆国憲法修正第13条によって奴隷制が廃止された後、1865年に後継誌として誕生しました。創刊に尽力したのは、造園家として知られるフレデリック・ロー・オルムステッドを中心とした廃止論者グループであり、初代編集者にはエドウィン・ローレンス・ゴドキンが就任しました。

初期の同誌は、南北戦争後の再建期における南部諸州の実情を伝える「The South as It Is」などの特集を通じ、現場の証言を重視する姿勢を打ち出しました。また、ガリソンの息子であるウェンデル・フィリップス・ガリソンが文学編集者として参画し、父が築いた広範な人脈を誌面に活かしました。

The Evening Post and The Nation, 210 Broadway, Manhattan, New York

思想的変遷:古典的リベラリズムから左派の代弁者へ

1881年にヘンリー・ヴィラードによって買収された後、同誌は一時的に『ニューヨーク・イブニング・ポスト』と連携して発行されました。その後、息子のオズワルド・ガリソン・ヴィラードが継承し、人種平等や孤立主義を掲げた独自の路線を強化します。1918年には、独立性を保つために新聞社との連携を解消しました。

1930年代に入ると、同誌の思想的転換が起こります。当初は小規模な政府を支持する古典的なリベラリズムに立脚していましたが、フランクリン・ルーズベルトのニューディール政策を支持したことで、政府の役割を拡大させる現代的なリベラリズムへと舵を切りました。1937年に編集者のフレダ・キルシュウェイが所有権を得ると、同誌は明確に「左派の代弁者」としての地位を確立しました。

冷戦期と弾圧の時代

マッカーシズム(赤狩り)の時代、The Nationはその急進的な姿勢から激しい攻撃にさらされました。ニューヨーク市などの学校図書館で禁書扱いとなり、同誌を棚に置いたという理由で解雇される司書が出るなど、政治的な弾圧を経験しています。一方で、1957年にはフィデル・カストロによる寄稿を掲載し、ピッグス湾事件を予見する記事を出すなど、鋭い国際的洞察力を示しました。

現代における展開と運営体制

1990年代以降、ヴィクター・ナバスキーやカトリーナ・ヴァンデン・ヒューベルといった編集者が誌面を率い、デジタル時代の波に対応してきました。2015年には創刊150周年を迎え、バラク・オバマ元大統領からも、一部の意見には同意できないとしつつも、その歴史的価値を称える書簡が寄せられました。

2022年には、雑誌『Jacobin』の創設者であるバシュカル・スンカラが社長に就任。リベラリズムと社会主義の連携による進歩を目指しており、2023年12月からは、より充実した内容を提供するため、発行形態を隔週刊から月刊へと変更しました。

収益構造とコミュニティの支援

同誌の運営は、広告収入(全体の約10%)よりも、購読料(約60%)と寄付金に大きく依存しています。特に「Nation Builders(旧Nation Associates)」と呼ばれる3万人以上の支援者グループによる寄付が、収益の30%を占めており、独立した編集権を維持するための重要な基盤となっています。

項目 詳細
創刊年 1865年
主要テーマ 政治、外交、法務、環境、芸術
発行頻度 月刊
総発行部数 96,000部(2021年時点)
主要拠点 ニューヨーク(ワシントン、ロンドン、南アフリカに局を設置)

表現の自由と論争

長い歴史の中で、同誌は常に表現の自由の最前線に立ってきました。1991年には湾岸戦争中のプレスプール(記者団の制限)運用を巡り、国防総省を相手に憲法修正第1条および第5条違反で提訴した経緯があります。

一方で、内部的な論争も起きています。2018年に掲載された、白人詩人がホームレスの視点から黒人特有の口語を用いた詩が「文化的な盗用」であるとの批判を浴び、編集部が謝罪した際、それが芸術的自由の侵害であるとして誌内で激しい議論が巻き起こりました。

Frequently Asked Questions

The Nationはどのような政治的傾向を持っていますか?

伝統的にアメリカの左派・進歩主義的な視点に立っています。歴史的には古典的リベラリズムから始まり、ニューディール政策の支持を経て、現代では民主社会主義的な傾向を持つ論調を展開しています。

どのような人物が寄稿していますか?

政治学者、法学者、詩人、ジャーナリストなど多岐にわたります。エリック・アルターマンやカサ・ポリットなどのレギュラーコラムニストが活動しており、政治だけでなく芸術や文化に関する深い分析を提供しています。

雑誌の運営資金はどのように調達していますか?

購読料と、支援者グループ「Nation Builders」による寄付が主軸です。広告収入への依存度を低く抑えることで、権力に忖度しない独立したジャーナリズムを維持しています。

デジタル版と印刷版のどちらが主流ですか?

2021年時点のデータでは、総発行部数96,000部のうち、約80%が印刷版の購読者です。ただし、デジタル広告の成長やオンライン購読の増加など、デジタルシフトも進んでいます。

創刊時の目的は何でしたか?

奴隷制廃止を掲げた『The Liberator』の精神を引き継ぎ、奴隷制廃止後のアメリカにおいて、より広範な政治的・社会的課題に取り組むための週刊政治雑誌として設立されました。

References

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