1990年代後半から2000年代にかけて、中国のインターネット市場は急速な発展を遂げました。その中心的な役割を担ったサービスの一つが、TOM Online(tom.com)です。同社は単なるWebポータルサイトにとどまらず、モバイルインターネットやオンライン広告など、多角的なデジタルサービスを展開した先駆的な企業でした。
TOM Onlineは、世界的な実業家である李嘉誠(リ・カシン)氏が率いるTOMグループの傘下として運営されていました。中国語圏のユーザーに向けて、利便性の高い情報プラットフォームを提供し、当時のデジタルエコシステムにおいて重要な地位を築きました。
Key Facts
- 設立・開始: 1997年6月にサービスを開始。
- 主要事業: 中国語Webポータルの運営、ワイヤレスインターネット、オンライン広告。
- 上場履歴: 2000年に香港GEM、2004年にNASDAQへ上場。
- 親会社: 李嘉誠氏が支配するTOMグループ。
- 現状: その後、非公開会社へと移行。
市場への進出と劇的な上場
TOM Onlineは、戦略的なタイミングで資本市場へ参入しました。2000年3月1日には香港証券取引所のGEM(Growth Enterprise Market:新興企業向け市場)に上場し、初日の終値が公開価格の3.35倍に達するという、当時の香港市場における記録的な快挙を成し遂げました。
さらに、グローバルな展開を見据えて2004年3月10日には、米国市場のNASDAQにも上場し、国際的な注目を集めることとなりました。
経営体制の変更と非公開化への道
2007年に入ると、親会社であるTOMグループ(当時、同社株式の66%を保有)は、少数株主からの株式買い取りを提案しました。提示された買い取り価格は1株あたり1.52香港ドルで、総額15.7億香港ドルにのぼる計画でした。
しかし、この買収案はスムーズに進みませんでした。モルガン・スタンレーなどの分析では、適正株価は1.90香港ドルであるとされており、市場からは提示額が低すぎるとの声が上がりました。その結果、株主投票が延期されるなどの混乱を経て、最終的に同社は非公開化されることとなりました。
特殊なサービス展開:中国版Skype
TOM Onlineのユニークな取り組みの一つに、Skypeの中国向け独占提供がありました。この中国版Skypeは、現地の市場環境に合わせてカスタマイズされており、政治的なキーワードを制限するテキストフィルター機能が組み込まれていたことが報告されています。
TOM Online 概要まとめ
| 項目 | 詳細内容 |
|---|---|
| サイト種別 | Webポータル / モバイルインターネット |
| 対応言語 | 中国語 |
| サービス開始 | 1997年6月 |
| 主要株主 | TOMグループ(李嘉誠氏) |
| 上場市場 | 香港GEM (2000年)、NASDAQ (2004年) |
Frequently Asked Questions
TOM Onlineとはどのような会社でしたか?
中国でWebポータルサイト「tom.com」を運営し、ワイヤレスインターネットやオンライン広告などのモバイルサービスを提供していたインターネット企業です。
誰がこの会社を支配していましたか?
香港の実業家である李嘉誠(リ・カシン)氏がコントロールするTOMグループの傘下に入っていました。
上場時の状況はどうでしたか?
2000年に香港のGEMに上場した際、初日の株価が公開価格の3.35倍まで上昇するという記録的なスタートを切りました。
なぜ非公開化されたのですか?
親会社のTOMグループが少数株主の株式を買い取る計画を進めたためです。買い取り価格を巡る議論がありましたが、最終的に非公開会社となりました。
Skypeとの関係はどのようなものでしたか?
中国市場向けにカスタマイズされたSkypeの中国版を独占的に提供していました。このバージョンには、特定のキーワードをフィルタリングする機能が含まれていました。
References
- The Stock Exchange of Hong Kong "The Growth Enterprise Market & tom.com limited IPO", March 2000
- Bonnie Chen, "It's a steal!", , November 7, 2007
- Steven Lee, "Wireless net woes put Tom Online into red", , July 25, 2007
- Steven Lee, "Tom Online tries to save delisting bid", The Standard, June 8, 2007
- Ben Kwok, "Bigger pond for Li firm", 'Lai See' , July 04, 2008
- "Skype says texts are censored by China". FT.com. Financial Times. April 18, 2006. Archived from the original on 2022-12-11. Retrieved 2011-01-21.