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Van Eyck(ファン・エイク)|芸術・デザイン・理論を融合させるポストアカデミック研究所

オランダのマーストリヒトに位置するVan Eyck(ファン・エイク)は、純粋芸術、デザイン、そして美術理論の境界を越えて研究と制作を行うポストアカデミック(大学院修了後の研究段階)の研究所です。かつては「ヤン・ファン・エイク・アカデミー」として知られていたこの機関は、単なる教育施設ではなく、世界中から集まる研究者が集い、現代社会における芸術の役割を問い直す実験的なプラットフォームとして機能しています。

Key Facts

  • 設立年:1948年
  • 所在地:オランダ、マーストリヒト(イェケルクワルティエル地区)
  • 専門分野:純粋芸術、デザイン、美術理論の3領域
  • 特性:大学卒業後の研究者が集うポストアカデミックな研究・制作拠点
  • 現在のディレクター:Hicham Khalidi(ヒシャム・カリディ)

歴史的変遷:カトリックの伝統から国際的な実験場へ

創設期の理念と目的(1940年代)

本研究所のルーツは、1940年代後半に遡ります。1947年、カトリックの原則に基づいた高等芸術教育の必要性から、聖ベルヌルフス財団によって設立されました。名称は、マーストリヒト近郊のマーゼイク出身で、カトリック芸術家の模範とされる画家ヤン・ファン・エイクに由来しています。当初の目的は、戦後破壊された教会の修復や装飾など、教会に奉仕する芸術家の育成にありました。

1948年5月13日に創立憲章が署名され、同年10月に7名の学生で活動を開始。初期のカリキュラムには、美術史や神学、哲学、典礼といった宗教的・学術的な科目が組み込まれていました。

アイデンティティの確立と近代化(1950年代〜1970年代)

1950年代から60年代にかけて、研究所は徐々にその性格を変えていきます。1961年には近代建築家フリッツ・ポイツ設計の新校舎へ移転し、設備も充実しました。次第にカトリック的な制約は薄れ、教育の焦点は「個々の学生の意識と問い」を中心とした現代的な芸術実践へと移行しました。建築課程が廃止され、純粋芸術に特化した体制へと再編されたのもこの時期です。

1970年代後半になると、単なる「教育の場」から、研究と実験のための「ワークショップ(werkplaats)」へと定義が変化しました。ここでは、作品の製造だけでなく、議論や探究を通じて革新的な表現を追求することが重視されるようになりました。

国際化とメディアの導入(1980年代〜1990年代)

1980年代に入ると、国際的なプラットフォームとしての性格が強まり、共通言語として英語が採用されました。また、オランダポストアカデミック機関として先駆的に「タイムベースドメディア部門」を設立し、ビデオやオーディオなどの新しい表現手法を導入しました。

1990年代には、純粋芸術、デザイン、美術理論の3つの分野を柱とする体制が整備されました。ここでは「学生」ではなく「研究者」という呼称が使われるようになり、多角的な視点から芸術と社会の関係を考察する、高度に専門的な研究活動が展開されました。

現代の組織構造と教育的アプローチ

2000年代以降、Van Eyckはさらに柔軟な組織へと進化しました。現在は、各部門のコアチームが研究プロジェクトの監督やセミナーの企画を担い、外部に開かれたプログラムを週単位で提供しています。2013年の大規模な改修を経て、複数のアカデミーやラボを統合した現在の形態となりました。

包括的な名称への変更

2017年には、多様性と包括性の象徴として、男性名のみであった名称に女性画家の名前を加えました。これにより、「ヤン・ファン・エイク / マーガレット・ファン・エイク」および「フーベルト・ファン・エイク / カテリーナ・ファン・ヘメッセン」という名称が採用されています。

教育の架け橋:フーベルト・ファン・エイク / カテリーナ・ファン・ヘメッセン・アカデミー

2012年に設立されたこの部門は、マーストリヒト大学や地域の芸術学校(音楽、演劇、美術)を繋ぐ「教育の架け橋」としての役割を担っています。プロジェクト開発を主とするヤン・ファン・エイク側に対し、こちらは「教育」に重点を置いており、アーティスト向けの博士課程(PhD)の構築なども目指しています。

Van Eyck 研究所の概要まとめ
項目 詳細
主要3分野 純粋芸術 (Fine Art)、デザイン (Design)、美術理論 (Art Theory)
教育形態 ポストアカデミック(大学院レベル以降の研究・制作)
施設機能 オーディオ・ビデオスタジオ、コンピュータワークショップ、版画、木工等の専門工房
連携機関 マーストリヒト大学、Zuyd応用科学大学など

著名な出身者

本研究所では、世界的に影響力を持つ多くのアーティストや研究者が活動してきました。代表的な人物には、スティーヴ・マックイーン(Steve McQueen)やモナ・ハトゥーム(Mona Hatoum)、ライアン・ガンダー(Ryan Gander)などが名を連ねています。

Frequently Asked Questions

Van Eyckは一般的な大学や美術学校と何が違うのですか?

一般的な教育機関とは異なり、すでに学位を取得した人々が対象となる「ポストアカデミック」な研究所です。指導を受けることよりも、自律的な研究、制作、そして理論的な探究を行うためのプラットフォームとしての性格が強いのが特徴です。

どのような設備が利用できるのでしょうか?

非常に充実したテクニカルスタジオを備えています。具体的には、オーディオ・ビデオスタジオ、コンピュータワークショップ、プリントショップ、写真スタジオ、そしてグラフィックスや木工などの素材を扱う工房が完備されています。

なぜ名称に女性の名前が追加されたのですか?

歴史的に男性中心であった機関の名称を見直し、女性芸術家の貢献を称えるとともに、現代的な多様性と包括性の価値観を反映させるため、2017年に女性の名前が正式に併記されました。

一般の人でも活動内容を見ることができますか?

はい。2001年以降、週ごとのプログラムを一般に公開しており、外部からの批判的な視点や反応を取り入れることで、研究の質を高めるオープンな体制を採っています。

References

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  2. Verleger, Hagen (February 28, 2019). "Margaret van Eyck—Renaming an Institution, a Case Study". Medium. Retrieved March 14, 2019.
  3. Steetskamp, Jennifer. "Interview with Madelon Hooykaas on the history of the video workshop at the Jan van Eyck Academie". Archived from the original on 4 March 2016. Retrieved 22 July 2015.
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