Iris persica (Sowerby)
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カーティス植物学雑誌2世紀にわたる植物図譜の歴史と芸術

1787年に創刊されたカーティス植物学雑誌(Curtis's Botanical Magazine)は、世界で最も長く続いている植物学の専門誌です。単なる学術誌にとどまらず、200年以上にわたり最高峰の植物イラストレーターたちの作品を掲載し続けてきた、芸術的価値の高いアーカイブとしても知られています。

本誌は、希少な外来植物や観賞用植物を詳細な図版とともに紹介することで、専門家だけでなく幅広い層に植物学の魅力を伝えました。多くの植物がこの雑誌を通じて初めて世に公表されており、科学的な記録としての重要性も極めて高い出版物です。

Key Facts

  • 創刊: 1787年2月1日、ウィリアム・カーティスによって設立。
  • 特徴: 精緻な植物図譜と、専門的かつ親しみやすい解説の融合。
  • 図版数: これまでに11,000点以上の彩色図版が制作された。
  • 運営: 現在はキュー王立植物園(Royal Botanic Gardens, Kew)が発行。
  • 学術的価値: 植物学の文献引用において「Curtis's Bot. Mag.」として広く参照されている。

創刊の経緯と初期の展開

創刊者のウィリアム・カーティスは、チェルシー薬草園の園長を務めた薬剤師であり植物学者でした。彼は、富裕層のみが所有していた高価な植物画を、より多くの人々が手に取れる形式(八折判)で提供することを目指しました。

初期の図版は銅版画に手彩色を施したもので、植物の全体像だけでなく、部位を拡大した「分解図」を掲載することで、読者が正確に種を識別できるよう工夫されていました。テキスト部分では、植物の特性、歴史、成長過程、および一般的な名称が詳しく解説されていました。

Iris persica (Sowerby)

制作体制の変遷

初期の図版制作はシデナム・エドワーズが中心となっていましたが、後に編集部との対立により離脱しました。その後、ジェームズ・ソワービーらが貢献し、最大で30人の彩色担当者が手作業で色付けを行うという、極めて労力の大きい工程を経て制作されていました。後に機械彩色が導入され、品質の均一化が進みましたが、初期の手彩色が持っていた緻密な表現力には時間を要して到達することとなりました。

編集者の交代と黄金時代を築いた芸術家たち

カーティスの没後、雑誌はジョン・シムズ、そしてウィリアム・フッカーへと引き継がれました。特にW.J.フッカー時代には、40年間にわたり主筆画家を務めたウォルター・フード・フィッチが起用され、雑誌の視覚的な質を大きく向上させました。

その後、ジョセフ・ダルトン・フッカーが編集に就任すると、女性イラストレーターたちの活躍が目立つようになります。ハリエット・アン・フッカー・シスルトン=ダイヤーが一時的に窮地を救い、続いてマチルダ・スミスが1878年から1923年まで2,300点以上の図版を制作しました。スミスはその卓越した能力により、キュー王立植物園初の女性植物画家となり、リンネ協会の準会員にも選出されました。

Dianthus barbatus Plate 207 (1793)

近代への移行と技術革新

20世紀に入ると、リリアン・スネリングが主筆画家として830点以上の作品を残し、さらにステラ・ロス=クレイグが3,000点もの図版を寄稿するなど、女性たちの貢献が続きました。1948年以降、伝統的な手彩色からフォトメカニカル(写真製版)プロセスへと移行し、現代的な出版形態へと進化しました。

まとめ:植物学における不朽の記録

カーティス植物学雑誌は、時代に合わせて名称の変更(1984年〜1994年は『The Kew Magazine』)を経て、現在は再び元の名称に戻り、キュー王立植物園によって発行されています。植物学者と画家が密接に連携して作り上げた図譜は、園芸家や生態学者にとって今なお不可欠なリソースとなっています。

カーティス植物学雑誌の概要
項目 詳細
創刊年 1787年
創刊者 ウィリアム・カーティス
主な図版技法 銅版画・手彩色 → 機械彩色 → フォトメカニカル
主要な貢献者 W. フード・フィッチ、マチルダ・スミス、リリアン・スネリング
現在の発行元 キュー王立植物園 (Kew Gardens)

Frequently Asked Questions

この雑誌の最大の特徴は何ですか?

200年以上にわたり、科学的に正確で芸術的に優れた植物図譜を継続的に掲載している点です。特に、植物の細部を拡大した分解図などの詳細な描写が、専門家から愛されています。

誰がこの雑誌を創刊したのですか?

薬剤師であり植物学者でもあったウィリアム・カーティスです。彼は、高価な植物画をより多くの人々が閲覧できる形式で出版することを目指しました。

女性イラストレーターはどのような役割を果たしましたか?

マチルダ・スミスやリリアン・スネリングなど、多くの女性画家が数千点に及ぶ図版を制作し、雑誌の質と継続性に決定的な役割を果たしました。特にスミスはキュー王立植物園初の女性植物画家となりました。

現在はどのような形式で発行されていますか?

現在はキュー王立植物園によって発行されており、園芸、生態学、植物イラストレーションに関心を持つ人々に向けて提供されています。

学術論文などで引用される際の略称は何ですか?

一般的に「Curtis's Bot. Mag.」または「Botanical Magazine」として引用されます。

References

  1. "Review of Curtis's ' Botanical Magazine.' Series 1–3. Vols. 1–123. London, 1787–1897". The Quarterly Journal. 188: 49–65. July 1898.
  2. "Curtis's Botanical Magazine". University of Glasgow. October 2004. Retrieved 11 August 2015.
  3. Stafleu, Frans A; Cowan, Richard S. (1976). Taxonomic literature : a selective guide to botanical publications and collections with dates, commentaries and types. Volume I, A-G. Utrecht: Bohn, Scheltema & Holkema. p. 583. :10.5962/t.206090.  .
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  7. Desmond, Ray, ed. Dictionary of British and Irish Botantists and Horticulturalists. CRC Press, 1994.
  8. Catherine Horwood Gardening Women: Their Stories From 1600 to the Present, p. 170, at
  9. Miss Lilian Snelling, Obituary, The Times, London, 17 October 1972 pg. 16, Issue 58607
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