Scheme of subglacial volcano eruption: 1). Water vapour cloud; 2). Lake; 3). Ice; 4). Layers of lava and ash; 5). Stratum; 6). Pillow lava; 7). Magma conduit; 8). Magma chamber; 9). Dike
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氷河火山(サブグレイシャル・ボルケーノ)のメカニズムと地球規模の影響

地球上の極寒の地では、厚い氷床や氷河の底で火山活動が起こることがあります。このような氷河火山サブグレイシャル・ボルケーノ)は、溶岩の熱で周囲の氷を溶かし、氷の下に一時的な湖を形成しながら成長するという、非常に特殊なプロセスを経て形成されます。現在ではアイスランドや南極で多く見られますが、カナダのブリティッシュコロンビア州やユーコン準州にも過去の形成跡が残っています。

氷河火山が形成されるプロセスと特徴

氷河の下で噴火が始まると、高温のマグマが上層の氷を急速に融解させます。このとき、溶岩が冷たい水に触れることで急冷され、海底火山に見られるような丸みを帯びた枕状溶岩(ピローラバ)が形成されます。これらの溶岩が崩落し、斜面を転がり落ちることで、凝灰角礫岩やハイアロクラスタイトといった特有の岩石層が積み重なっていきます。

Scheme of subglacial volcano eruption: 1). Water vapour cloud; 2). Lake; 3). Ice; 4). Layers of lava and ash; 5). Stratum; 6). Pillow lava; 7). Magma conduit; 8). Magma chamber; 9). Dike

氷河火山の形状は非常に個性的です。周囲の氷や融解水の圧力に支えられるため、側面が急峻で頂上が平らな形状になる傾向があります。もし噴火が続き、氷の層を完全に突き抜けて地表に達した場合、溶岩は水平に流れ出し、頂部はさらに平坦になります。一方で、氷が消えた後に地表で大規模な噴火が起きれば、一般的な円錐形の火山へと姿を変えることもあります。

特に、急峻な壁と平らな頂上を持つ特徴的な火山は、カナダの地質学者ビル・マシューズによってトゥヤ(Tuya)と名付けられました。アイスランドでは、これらは「テーブルマウンテン」とも呼ばれています。

氷河噴火がもたらす壊滅的な現象:ヨークループ

氷河の下での火山活動は、単なる地形形成に留まらず、大規模な洪水を引き起こす危険性を秘めています。これをヨークループ(jökulhlaup)と呼びます。マグマと氷、そして融解水の複雑な相互作用により、蓄積された大量の水が一気に放出される現象です。

例えば1996年、アイスランドのヴァトナヨークトル氷床下にあるグリムスヴォートン火山で噴火が発生しました。この際、約3kmの氷が融解し、大規模な洪水が発生して750km以上の範囲に影響を及ぼし、多くの橋が破壊されるなどの甚大な被害をもたらしました。

地球内外における氷河火山の痕跡

南極での活動

南極の氷床下でも過去に激しい活動があったことが判明しています。英国南極調査のチームによるレーダー調査の結果、約2,200年前にハドソン山脈付近(パインアイランド氷河近辺)で、過去1万年で最大規模となる噴火が起きたことが明らかになりました。その証拠となる火山灰が氷の表面から発見されています。

火星における可能性

この現象は地球だけに限られません。アリゾナ州立大学の研究者らは、火星の地表深くにある液体の水の存在に着目し、氷河火山の可能性を研究しています。もし火星に氷河火山が存在すれば、地下の微生物を地表へと運ぶメカニズムとして機能している可能性が考えられています。

氷床コアによる解析

過去の壊滅的な噴火履歴は、ボストーク氷床コアのような氷の柱を分析することで追跡可能です。氷の中に高濃度の硝酸塩(NO3)や硫酸塩(SO4)の層が見つかることで、氷河火山の噴火時期を特定することができます。

主要データのまとめ

氷河火山の特性と事例まとめ
項目 詳細・特徴 主な事例・地域
代表的な地形 頂上が平らで側面が急峻な形状(トゥヤ) カナダ、アイスランド
特有の岩石 枕状溶岩、ハイアロクラスタイト 氷下噴火地域全般
二次的災害 ヨークループ(大規模な氷河湖決壊洪水) アイスランド(グリムスヴォートン等)
分析手法 氷床コアの化学分析(NO3, SO4) 南極(ボストークなど)

Key Facts

  • 氷河火山は氷床や氷河の下で噴火し、溶岩の熱で氷を溶かして形成される。
  • 急冷された溶岩により、海底火山に似た枕状溶岩が作られる。
  • トゥヤと呼ばれる、頂上が平らで壁が切り立った独特の山形を形成することがある。
  • 噴火に伴う大量の融解水が一度に流出するヨークループは、甚大な被害をもたらす。
  • 地球だけでなく、火星においても同様の構造が存在する可能性が研究されている。

Frequently Asked Questions

氷河火山と普通の火山の違いは何ですか?

最大の違いは、噴火時に周囲を氷や水に囲まれている点です。これにより、溶岩が急冷されて枕状溶岩になることや、氷の圧力によって頂上が平らな「トゥヤ」という特殊な形状になることが特徴です。

ヨークループとはどのような現象ですか?

氷河の下で火山が噴火し、溶けた水が巨大な湖のように溜まった後、それが一気に決壊して流れ出す大規模な洪水のことです。インフラの破壊など、壊滅的な影響を与えることがあります。

氷河火山はどこで多く見られますか?

現在活動しているものはアイスランドや南極に多く見られます。また、過去に形成されたものはカナダのブリティッシュコロンビア州やユーコン準州などで確認されています。

過去の噴火をどのようにして突き止めるのですか?

氷床コア(氷の柱)を分析し、火山活動の指標となる硝酸塩や硫酸塩の濃度が高い層を探すことで、いつ大規模な噴火が起きたかを特定しています。

火星に氷河火山があると言われている理由は?

火星の地表下に液体の水が存在すると考えられており、地球と同様のメカニズムで氷河火山が形成された可能性があるためです。これは、地下の微生物が地表に運ばれる経路として注目されています。

References

  1. "Volcanoes of Canada". Geological Survey of Canada. Archived from the original on February 2, 2009. Retrieved January 19, 2009.
  2. "Unknown".[]
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  4. Black, Richard (20 January 2008). "Ancient Antarctic eruption noted". . : . Archived from the original on 15 January 2009. Retrieved 22 October 2011.
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  6. "International Glaciological Society" (PDF). International Glaciological Society (IGS). Archived (PDF) from the original on 2018-05-04.